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Samba do avião の出だしの和音 DM7onF# が気持ち良い

 
2013-01-11 20:02 Good(0) Comments(0)
in Music - 音楽, Violão - ヴィオロン
ヴィオロン - Violão, Classical Guitar
ヴィオロン - Violão, Classical Guitar

ブラジル音楽、ボサノバの中でも有名な一曲に、『Samba do avião』(邦題:飛行機のサンバ、ジェット機のサンバ、英題:Song of the jet plane)というものがある。

アントニオ・カルロス・ジョビン - Antônio Carlos Jobim (通称:トム・ジョビン - Tom Jobim) の曲で、1962年に航空会社ヴァリグ - Varig のために作った曲。

この曲、全体的にとても良い高揚感を持っていて、僕はとても好き。

特に、歌が入る最初の和音が素晴らしい。

DM7/F#



ただのDメジャー7thの1転なんだけど、これをヴィオロン(クラシックギター)で弾くと本当に素晴らしい独特の響きになる。

ピアノやアンサンブルで同じ和音を出しても特になんということもないんだけど、ヴィオロンで出した時のこのポジションでのこの和音がとても好き。


アントニオ・カルロス・ジョビンはよくこの和音から曲を始めたもんだ!

※以下、ヴィオロン1本でメロディ、ベース、コードを同時に出して弾く場合の話。

このサンバのメロディはC#で、和音の中では7thの音になる。となると普通にベースはルートにしても十分お洒落な響きを得られる。

DM7



なのに、わざわざ1転させている。

それはこの後の展開を見ると納得できる。

DM7/F# | Bb7/F | Em7

2小節目のBb7/Fの時、メロディがこのコードのルート(Bb)と-9(C)を使うため、酷い響きになるのを転回して回避している。すると、この転回したBb7の響きがかなり硬くて、これに違和感なく繋がる和音はDM7/F#になる。基本位置のDM7だと流れ的に不釣合いな厚みになってしまう。

なら、DM7よりもうちょっと暗く濁る響きのD6を使ってみたら良さそうな気もするんだけど、メロディの動きがC# → B → Bbとなっているから、メロディの通過点の音(6th)が先に出ていると音の流れを妨げてしまう。これだと安直な悪いアレンジのお手本的なものになってしまってダメ。おいしくない。

このコード進行は、全体の響きの流れ、メロディとベースの距離感の双方が美味く折り合うところに感じる。

また、ベースラインの下りたり上ったりする半音移動は、飛行機がフワフワ飛んでいる様か、眼下に浮かぶ雲でも表現しているのかもしれない。本人の言など見聞きしたこと無いので分からないけど、僕はそういうイメージを持っている。



よくこのコードを付けた!素晴らしい!


この曲をヴィオロンで弾いて以来すっかり気に入った最初の和音。

いつかどこかで使いたいと思って引き出しに大切にしまってあるんだけど、なかなか使う機会が無い。だいたいこのポジションの1転和音が出てくる曲を作ることがない。殆どの場合、素直に基本位置で良い。

ジョビンのこの曲はかなり奇抜なアレンジ。とても勉強になるところが多いんだけど、基礎がしっかり出来ていない人にはこの曲を参考にする事はおすすめしない。

きっちりした土台を作れるようになって、それを意図して崩そうという段階の人の教材としてはおすすめできる。


少し楽曲分析臭い、音楽やってる人にしか分からないことがチョコっと書いてあるけど、ここで言いたいのはこれだけ。

僕はこの響きが好きだ!




久しぶりに O pato を弾いている

楽しかった!ブラジル音楽の集い!



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おまけ。

ボサノバって、響きも理論に基づき音楽的に洗練されたものと誤解されている面があるように感じるんだけど、実は聴くに堪えない汚い響きが出てくることがある。

例えば、コードが○m7(9)でメロディーが-9thをとってるとか、メロディとベースが平行移動してるとか色々。

メロディをとってるのが人の声の歌だったらまだ聴けたりすることもあるんだけど、インストで同じことやると壊滅的な響きになってしまうからアレンジする必要が出てくる。

民族、ある一定の集団によって音楽の中で使える音、許せる音の感覚が微妙に違う。そういう許せる音の感覚がブラジル人と日本人では違う。

だからブラジルという土地で、日本人の耳ではダメでもブラジル人の耳では良しとされる音楽が出来上がって、そのまま歌い継がれているのは当然のこと。

こういう音に対する感覚の違いは、違う文化圏の人間と音楽についてディスカッションを持ったり、一つの譜面を見ながら音を出し合ったりしてみるとよく分かる。

出来れば一緒にレコーディングするとか、音楽を作ることを体験すると面白い。もちろん、感覚の違いから対立して日の目を見ない作品になってしまうこともあるが、とてつもない勉強になる。

だから、考えるより、語るより、気楽に踊って楽しんで欲しい。

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