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ナミアゲハの羽化不全

 
2012-08-06 16:56 Good(74) Comments(0)
in Animals - 動物
ナミアゲハの羽化 - The japanese swallowtail butterfly emergence
ナミアゲハの羽化 - The japanese swallowtail butterfly emergence

今年の春、初めてナミアゲハの観察をやった時に、2匹のうち1匹はヤドリバエにやられてしまったことと、ここ一ヶ月ほど15匹ぐらいの幼虫たちを見守る中でアオムシコバチが幼虫の体に取り付いているところを何度も見かけていたことから、今回15匹の蛹を見守る過程では、その寄生虫による被害だけを心配していた。

ところが昨日、15匹の中で一番最後に羽化した個体に、予想しなかった事態が起きた。

羽化不全

その最後に羽化した1匹は、羽化の工程が順調に進まず、羽が伸びない、体が小さく細い、手足がちゃんと動かない、ストロー状の口が丸まらない、目の色が赤い小豆色、といった状態で羽化が完了してしまった。

蛹化した時から、そのサイズがひときわ小さかったことから、もう成長不良が始まっていたのかもしれない。

順を追っていく。


小さい蛹

蛹になった時は、他の蛹と比べると小さかった。一目で小さいと分かるほど。

ナミアゲハの羽化 - The japanese swallowtail butterfly emergence
ナミアゲハの羽化 - The japanese swallowtail butterfly emergence

羽化の兆候が表れる

蛹の上半身が黒ずんできて、お尻の部分が黄緑色になっていくのが通常の蛹の変化。

4日の22時ごろに見た時には、成虫の触覚になる部分だけが黒く変わっていた。上半身はうっすらと黒くなり始めているといった感じ。

ナミアゲハの羽化 - The japanese swallowtail butterfly emergence
ナミアゲハの羽化 - The japanese swallowtail butterfly emergence

5日の朝7時ごろには、上半身は黒さが強くなり、羽の模様がうっすら透けて見えるようになる。

ナミアゲハの羽化 - The japanese swallowtail butterfly emergence
ナミアゲハの羽化 - The japanese swallowtail butterfly emergence

ここまで一見順調な羽化への変化に見えるんだけど、時間が問題。羽の模様が透けるぐらいの変化が現れ始めるのは、通常は夜の11時以降(個体差あり)で、そのぐらいの時間に変化すると朝に羽化となる。

ところがこの羽化不全を起こした個体は、朝にその兆候が表れてしまった。僕が見た感触では、正午過ぎぐらいに羽化しそうな感じだった。


羽化不全

そこから日中は観察できなくて、その夜、帰宅してから見てみると、羽化していなかった。てっきり羽化した成虫が部屋の中を飛び回ってるか、カーテンにしがみ付いている姿を想像していたから驚いた。

夜21時ごろ見てみると、蛹の上半身は真っ黒で下半身は黄色になっていた。

ナミアゲハの羽化 - The japanese swallowtail butterfly emergence
ナミアゲハの羽化 - The japanese swallowtail butterfly emergence

なんていうか、羽化する直前の色の変化を通り越してるような印象を持った。黒すぎる、黄色が濁っている、色が強すぎる印象を持ちながら数分間見ていたら、蛹がピクッと動いた。

とりあえず生きていることが分かって安心、と思ったのもつかの間で、それからピクッ・・・・ピクッ・・・・と立て続けに動き始めた。

ついに羽化が始まるのか?!

と思いその様子を見守り始めた。

でも、これがおかしい。

今まで見てきた蛹は、羽化する時にこんなに自発的に動くことがなかった。何の前触れもなく突然パキッと殻を破ってサササッと出てくる。だから、こんなに動いているのを見て、羽化が始まることが分かりやすくていいなーなんて思っていたんだけど、15分ぐらい経っても全く出てくる気配がなくて変だなと思い始めた。

蛹の行動は、ピクッ・・・・・ピクッ・・・・という動きと、帯糸に全体重を掛けて踏ん張るような動きとを繰り返していた。

それがまるで蛹の皮を破って出ようとしているように見える。

ところが15分経っても出てこない。そのうち蛹の皮の一部が裂けていることに気づいた。

ナミアゲハの羽化 - The japanese swallowtail butterfly emergence
ナミアゲハの羽化 - The japanese swallowtail butterfly emergence

あれ?!もう開いてる!!

ってことはつまりこれ、出ようとしてるけど出られないでいるってことだ。

本来は、頭頂部が最初に割れて、その後に胸の辺りが割れるという順番なんだけど、これは頭頂部が繋がったままで、胸の辺りだけに亀裂が入ってパカパカ隙間が開いたり閉まったりするだけになっている。

下の写真は、正常な羽化の始まり。

ナミアゲハの羽化 - The japanese swallowtail butterfly emergence
ナミアゲハの羽化 - The japanese swallowtail butterfly emergence

ということで、ピンセットや爪楊枝を使って頭頂部の皮を取り除くことにした。

ナミアゲハの羽化 - The japanese swallowtail butterfly emergence
ナミアゲハの羽化 - The japanese swallowtail butterfly emergence

皮を取り除いたらこんな感じで、足は全部まとまった状態で、目は小豆色だった。

ナミアゲハの羽化 - The japanese swallowtail butterfly emergence
ナミアゲハの羽化 - The japanese swallowtail butterfly emergence

頭頂部から胸元にかけての皮を取り除いたのに、通常の個体同様に足をばたつかせながらもがくように出てこない。また、通常は黒色の複眼が、赤みが目立つ小豆色。

足を動かそうとしても、体の中央でまとまった形のまま固まってしまっていて上手く動かせないような様子がすぐに分かった。

ここまで皮を取り除いても自力で出られない。もう少し下まで剥がしてみることにした。

羽や体を傷つけないように慎重に慎重に少しずつ取り除いていったんだけど、なんと羽の下の方の一部が皮と強くくっついていて、更に、尻尾の方は、どこまでが蛹の皮でどこからが成虫の皮膚なのかが分からないほどくっついていたから、全部剥がすのは無理だった。

ナミアゲハの羽化 - The japanese swallowtail butterfly emergence
ナミアゲハの羽化 - The japanese swallowtail butterfly emergence

この時既に羽が固まっているのが分かった。蛹から出られたとしても羽が開くことはないと分かった。

これ以上蛹の皮を剥がせないから、やむなく一晩そのまま置いて様子を見ることにした。

翌朝見ると、昨夜よりは体と殻の区別がはっきりしていたから、残りの皮を全部剥がした。

それから1時間後ぐらいに、茶色い排泄物を出した。この個体からすると、羽化が終わってから最初の排泄なんだろう。

それでもやっぱり羽が開くことはない。正常な羽化をした個体であれば、この排泄をする頃にはすっかり羽が伸びているけど、この羽化不全の個体は昨夜から既に羽が固まっていたからそれは変わらない。

また、足も固まっている。

口も固まっている。

触覚も固まっている。

全身が上手く動かない状態でバランスが悪くすぐに仰向けになってしまう。仰向けになりながら時折力いっぱいバタバタと羽ばたく素振りを見せている。

ナミアゲハの羽化 - The japanese swallowtail butterfly emergence
ナミアゲハの羽化 - The japanese swallowtail butterfly emergence
ナミアゲハの羽化 - The japanese swallowtail butterfly emergence
ナミアゲハの羽化 - The japanese swallowtail butterfly emergence

僕に出来ることといえば、この個体がした排泄物で蝶自身の体が濡れないように気をつけることだけ。

後でエサをやることも試してみるけど、全身が上手く動かせない状態だから難しいだろう。

残念だけど、このまま最後まで見守るしかなさそう。

ナミアゲハの羽化 - The japanese swallowtail butterfly emergence
ナミアゲハの羽化 - The japanese swallowtail butterfly emergence

※8月7日追記:羽化不全ではあるけど、ひっくり返りながらもパタパタと羽ばたく動きは元気で、6日にエサを与えてみたけどちゃんと飲めているのか分からない。それから一晩おいて今日7日、朝から動きが弱くなっていて、正午ごろ死んでしまった。



この個体に何が起きたのか?

ずっと見ていたわけじゃないから、僕の想像でしかないけど、今まで羽化していった他の個体と比べてみると、その違いからおそらくこんな事が起きていたんだろう。

・昼過ぎごろ羽化を始めるが、蛹の皮を破れなくて出られない。たぶん、体が小さくて力が弱かったんだと思う。

・そのまま蛹の中で成虫の羽が固まる。

・本来、蛹から体の半分が出たところで行うはずの一回目の排泄を、蛹の中に居る状態でしてしまい、それが体と羽を濡らす。

・その後、胸の一部に亀裂が入り、蛹の内部が乾き始め、排泄物が接着剤代わりになってしまい、成虫の体や羽と蛹の皮をくっつけてしまい、一層脱皮を困難にする。


たぶんこんな感じだと思う。

また、羽化の兆候が表れるタイミングもおかしいので、既に蛹の中で何らかの成長不良を起こしていたことも考えられる。



ナミアゲハの成長の過程には、鳥やクモなどの天敵、ハチやハエなどの寄生虫、木からの落下などの自滅、食草不足など、あらゆる困難がある中に、今回この個体に起きた羽化不全ということもあることがよく分かった。

単純に蛹から出られなかったということだけが原因であれば、人間の手でタイミングよく皮を破れば解決できるけど、それ以外の何か成長不良が原因となるとどうしようもない。

ナミアゲハの飼育の中で起こりうる一つの問題としてしっかり覚えた。


昨日羽化した2匹のナミアゲハの様子



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おまけ。

ナミアゲハの幼虫に卵を産みつけるアオムシコバチは、幼虫の体に取り付いていても必ずしも卵を産んでいるとは限らない。

今回の幼虫たちの成長を見ている中で、アオムシコバチが幼虫の体に止まっていたり歩いている所を何度か見かけた。

もちろん見つけた時にはアオムシコバチを叩いたり潰したりして駆除して幼虫を守った。

それでもそうやって幼虫の体に取り付いていたから、何匹かは寄生されているだろうと思っていたけど、予想に反して1匹も寄生されていなかった。

だから、アオムシコバチが木や幼虫の体にいたからといって、幼虫の成長を諦めることはない。

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