BLOG
ブログ

「耳が良い」とは

 
2013-02-28 16:45 Good(0) Comments(0)
in Music - 音楽
Ear

作曲や演奏などをやっている人たちの間で、時々『耳が良い』とか『良い耳してる』なんて言い回しが使われる。

この言葉の意味は、決して『小さい音や極端に高いまたは低い音まで聞き取れる』とか『聞こえる音がどんな高さの音か分かる』というドレミで分かる絶対音感のような事を指しているのではない。



『耳が良い』とは、音楽的な響きを耳で判別できる能力、感覚のことを言っている。

こういう感覚を持っている人は、倍音を操作して音を組み立てて繋げていくことができ、必然性のある響きと流れのある音楽を作ることができる。

逆にこういう和声的な感覚を勉強して身に着けていない人が音楽を作ると、響きに統一感がなくデコボコしていて全体として上手く繋がっていなかったり、突拍子も無い音が何の脈絡もなく出てきたりして、全体として一体感のない曲になっていたりする。

だから曲を聴くと、その曲を作った人がどの程度の耳を持っているのか、曲を作る上での基礎的な部分がどれだけ出来ているのかが分かる。

情景を絶妙に表現していたり、人の心を突き動かすといったような意味あいの『良い曲』を作れるかどうかは感性が絡んでくるのでまた別のことで、これはちゃんと勉強して身につける音楽の基礎的な部分。

ちなみに、音楽の基礎的な部分といっても、この能力がほぼ無いに等しいぐらいの状態だけど、プロとしてオーケストラで演奏するほどの腕前の演奏者もいる。

あくまで、作編曲をする上で重要ということ。


これ書いててふと思い出したので書く。

音楽制作事務所やゲーム会社などのように音楽を作れる人(作曲家、編曲家、サウンドクリエーターなど色んな呼び方をする)を募集している企業の人が、冗談半分に『不採用の人の曲は1秒で止める(笑)』みたいな事を言うことがあるんだけど、これそんなに大げさな話ではない。

こういう採用を掛けた応募曲で長ったらしいロングトーンのフェードインから入る曲を送る人はまずいなくて、出だしからインパクトを与えてツカミに掛かろうとするから、長くても10秒も再生していると、大抵は和音なり音使いがよく分かる部分が出てくる。

そこで上の話。

和声的な感覚、作編曲をする上で欠かせない基礎がどれだけ出来ているかは、少し聴いただけですぐ分かる。

例えばそれが出来ていない人の場合、どんなに曲の展開やフレーズで光る部分があったとしても、基礎ができていないと何を作っても総合的にマズイものしかできないから不採用ということになる。

もちろん、似た楽曲を得意とする人材が既に居るから不採用というように、他の理由が原因の場合もあるけど、再生をすぐ止められる場合の理由には『基礎が出来ていないと分かった』というのがある。

作編曲でも演奏でも、やっぱり基礎は大事!!


音楽家にとっての難聴とは

ブラジルと日本の歌の音域



完本 管絃楽法
Amazonで見てみる
和声と楽式のアナリーゼ
Amazonで見てみる

おまけ。

ちなみに、『耳が良いね』って言われても嬉しいという感覚は無いし、得意げに喜ぶ人を見たこともない。

問題はそこじゃなくて、結果として音楽が作れているかどうかだから。

料理人に『包丁で食材切れるんだね』って言っているようなもの。

音楽仲間で『耳良いね』って言っても『うん、それなりの勉強をしたからね』という程度の会話のテンション。

この記事を気に入ったら下の【Good】ボタンを押そう。
0
このエントリーをはてなブックマークに追加
Sponsored Links

Leave a Comment - コメントを書く

Name(required) - Nome(obrigatório) - お名前(必須)
Email(required, will not be published) - Email(obrigatório, não será publicado) - メールアドレス(必須、非公開)
URL - ウェブサイトURL
Comment - Comentário - コメント

Type the code from the image. - Digite o código exatamente como na imagem abaixo. - 下の画像の英数字を入力してから【確認】ボタンを押して下さい。

オリジナル曲弾き語り



Sponsored Links
Recent Comments
最新のコメント
  • そる: 初めまして。随分前の記事にいきなりのコメント投入、失礼します...


  • Laura Mendel: Dear Sir,Your crow pictures ar...


  • masahiro: この記事わかりやすくてとても参考になりました。一週間ほど前か...


  • Kaaatsu: はじめまして。ペンタQから60D入手の流れが自分と一緒で、嬉...


  • SeikoSaizan: はじめまして。お世話になります。スナップ撮りを中心にPENT...


  • bamboo: 写真入り助かります!!


  • 田中敏充: 初めまして。私もQを使っていまして、画質などに関する感想は主...


  • cyclops: ほかの関連する記事も見ましたが、とても参考になりました。


  • 白井賢人: はじめまして。凄く楽しい写真ありがとうございます。2012年...


  • 白井賢人: ムケカは二回、渋谷で食べたことがあります。トゥッカーノという...


Sponsored Links