ナミアゲハの観察2、今日で孵化から13日目、産卵から17日目。

今観察しているナミアゲハの幼虫は、硬くなる前の少し成長した柔らかい若葉が多いレモンの木で暮らしている。

雨にも負けず風にも負けず、順調に育っている。

今日、孵化から13日目の様子。（7月16日）

今日の体長は、24mm

今は脱皮を3回終えた4齢幼虫で、おそらく今夜か明日には緑色の終齢幼虫になろうかという状態。

この個体が暮らしているレモンの木は、細い苗木でヒョロっと伸びているので、風が吹くと凄い揺れる。どうも見ていると、体の大きな幼虫ほど木や葉っぱの揺れを嫌うみたいで、風が強くなってくると、風の影響を受けにくい木の低い方へと移動していく。

この観察している幼虫は、木の根元、土から1cm上ぐらいのところまで降りて落ち着くというのが定着した行動になっている。

同じレモンの木に、後から孵化した幼虫が4匹いるんだけど、先日九州地方に大被害をもたらした『今まで体験したことのない雨』の流れで関東地方にも強い雨と風をもたらした天気で、2匹が飛ばされてどっかいっちゃった。

他、別の1匹は落ちてベランダを歩いていた。運良く発見したからそのまま木に戻したら、よほど腹が減っていたらしく葉っぱに止まったと同時にムシャムシャ食べだした。木から落っこちて食べ物がなくハラペコだったんだ。

15匹ぐらいの幼虫がいたサイパンレモンの木の方も、何匹か落とされたらしく数が減っている。

ナミアゲハの幼虫の天敵は、生き物だけじゃなく、天気、雨と風もあったということを十分よく分かった。

さて、そんな悪天候にも耐えたその他の幼虫たちも順調に成長している。

一気に沢山の個体を観察できる状態にあると、色々分かって面白い。その中の一つがこれ。

食草の違いによる成長の違い。

木の種類じゃなくて、葉っぱの状態によって、それを食べている幼虫の成長がびっくりするほど違う。

7月9日の第二次孵化ラッシュの時に産まれた幼虫の中に、サイパンレモンの新芽の部分で孵化したものがいた。

幼虫は基本的に新芽や若葉を好んで食べるため、この個体はとても恵まれた場所に産み落とされたラッキーな奴だと思って、特に注意して見ていた。

その幼虫は、新芽の中で産まれ、新芽だけを食べて日々過ごした。

その結果、4日目には硬い葉っぱばかりを食べていた他の幼虫よりも2倍の大きさに成長し、なんと今日、今観察している個体を追い抜いてたったの7日間で終齢幼虫になった！！

体長は25mmほどで、順調に成長している綺麗な個体。

ちょっとこの写真を見て欲しい。すぐ隣にいる11mmほどの黒褐色の幼虫は、この成長の早い幼虫と同じ日に産まれた個体。黒褐色の方は、硬い葉っぱだけを食べて暮らしている。

柔らかい新芽や若葉だけを食べて育った幼虫と、硬い古い葉っぱだけを食べて育った幼虫とでは、成長スピードにこれほどの開きが生じる。

ナミアゲハの幼虫は、新芽や若葉が無ければ硬い葉っぱも食べるし痛んだ葉っぱも食べる。だけどやっぱり柔らかい新芽や若葉が良いんだ。それがよく分かった。

なぜこんなに体の大きさが違うのか？

僕は葉っぱの成分を調べることは出来ないから、目で見えることだけで言えば、新芽を食べている幼虫は、硬い葉っぱを食べている幼虫よりも食べるスピードが速い。そして速いぶん、一度に食べる量がとても多くなる。

幼虫が葉っぱを食べるところを見ていると、新芽や若葉は柔らかいから、噛むのに時間がサクサク食べていく。一方、古い硬い葉っぱはやっぱり硬くて歯が立ちにくいらしく、食べるのにてこずっている。特に葉っぱの淵が硬いらしく、最初の一噛みは少し時間が掛かっている。その一噛みが入ると、葉っぱの中ほどは少し柔らかいらしく、それに比べると速く食べ進めることができている。

それでも、新芽を食べている幼虫の食べるスピードには遠く及ばない。

結局、新芽だけを食べている幼虫は、他の幼虫よりも2倍も3倍も食べている。

それがこの成長の違いに表れていると思う。

下の写真の幼虫たちは、最初は硬い葉っぱを食べていたけど、そのうち柔らかい新芽や若葉を見つけて食べ始めた個体。そこからグイグイ成長しはじめて、おそらく明日には終齢幼虫になりそうな雰囲気。

『幼虫はどんな葉っぱでも食べる』のは確かにその通りなんだけど、ここまで成長の速度に違いが出ることはここで初めて知った。これは本当に驚いた。

さて、観察している幼虫は、もうすぐ緑色の終齢幼虫になる。楽しみ。

孵化から14日目

孵化から6日目

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おまけ。

ナミアゲハの幼虫は、どうやら日陰が好きみたい。

初めての観察の時のように、春の柔らかい陽射し程度なら、幼虫達は特に気にしないようすで、日向だろうが日陰だろうがおかまいなしに居た。

だけど、ここの所の夏の強い日差しは、あまり好きじゃないみたいで、必ず葉っぱの影になる所に移動して休むようにしている。

また、それでも直射日光を避けられなくなり、暑さに耐え切れなくなるとこんなポーズをとる。

必ず太陽の方に向かって体を曲げているから、おそらく直射日光が当たる体の面積を減らしているのかもしれない。

しかしこの状態は少し不安定らしく、ちょっと強い風が吹いて葉っぱが大きく揺れると、反るのを止めて葉っぱにペッタリとしがみ付く。

日陰はいっぱいあるから、さっさと移動したらいいと思うんだ・・・・。

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