ヴィオロンを演奏した後は、手の汗や油で汚れるもの。これをそのままにしておくと、弦が早く劣化しちゃうから、毎回毎回必ずしっかり拭き取る。その際に使う布がこれ。

これはヴィオロンの手入れ専用のクロスじゃない。広げるとこんな布。

このテロテロ感で、なんとなく何の生地か分かるかもしれない。

これはシャツ。

着古した肌着を適当な大きさにカットしたもの。ヴィオロンのナイロン弦に限らず、エレキギターのスチール弦を拭く時も、僕はずっとこれを愛用している。弦だけじゃなく、ネックやボディもこれで拭いている。

子供の頃、ギターを始めたばかりの頃は、楽器店で売っている専用のクロスを使っていたんだけど、使っているうちにこれの欠点に嫌気が差して使うのをやめた。

ギターを拭く専用のクロスで弦を拭くと、クロスの繊維が弦に絡み付いて毛玉のようなものが弦にくっついてしまう。だから拭いた後にこの毛玉を取らないといけなくなる。二度手間。

単発の行動ならこの程度の手間はどうってことないけど、毎日毎日何回も何回も行うから本当に煩わしくなってくる。

そこで代わりになった物がこの肌着だった。

汗や油をよく吸収するのは勿論のこと、毛玉が出来て弦に纏わりつくなんてことが全く無い。ポリッシュを使わなくてもちょっとした手垢汚れなんかはサッと落とせるし、演奏中に手にかいた汗もシャツを軽く一握りするだけで吸い取れる。

どうせ捨てるだけの着古したシャツだから再利用できてる所が良いし、タダだし、洗濯してもすぐ乾くし、お腹と背中の部分で両面で二枚とれる。

こんなスグレモノはない。

専用のクロスじゃないと、ボディの塗装面にキズが付く心配をする人もいるかもしれないけど、僕は気にしてない。だって、拭かなくたって弾いてるだけで洋服で擦れるし、タオルをあてがっていればそれで擦れるし、ボディを叩いたり擦ったりとパーカッシブな使い方で日々目に見える傷が付くものだから。こういう状況が基本的な中で、専用のクロス以外のもので拭くことで付くかもしれない目に見えない細かいキズのことなど心配してはいない。

演奏する立場の僕にとって、楽器は消耗品。

『弾き潰れる』なら、それは素晴らしいこと。

専用のクロスは演奏者向けじゃなくて、ギターコレクターや楽器店向けだと思う。そっちで実用的な気がする。20年ほど前、ギターを始めたばかりでよく分からない時期に、専用の物はとりあえず買っておくか、などという感じで買ってしまったけど、そのまま新しい物を買い続けないで身近な廃棄物のシャツの素晴らしさを知る事が出来てよかった。

そういう訳で、僕はヴィオロンの弦やボディを拭くのにはこのシャツを愛用してる。オススメ！

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