とても大きな鳥、ハシビロコウ。どう見てもバランスが悪そうな巨大な口ばしを持った頭部の形が独特で、自分の口ばしと同程度の大きな魚を丸呑みにする。

頭の形が独特だから、ブラジルでは Bico de Sapato 又は Cegonha Bico de Sapato と呼ばれている。直訳すると『靴の先』、『靴の先のようなコウノトリ』。

狩りの方法は単純で、湿地帯の浅い水辺にて一箇所にジっと立ち止まり、自分が捕食可能な範囲に獲物が近寄ってきたところを一気に突進して捕らえる。鋭い眼差しで水中を見張り長い時間静止している洗練された姿と、突進する不器用なパワープレイのギャップに、たまらなく愛嬌を覚える。

そんなハシビロコウは、日本では東京にある上野動物園で見ることができる。何度か上野動物園に行って、僕が撮り溜めたハシビロコウの写真をここにまとめた。少しでもハシビロコウの魅力が伝わると嬉しい。

後姿がとても魅力的。特に頭のフサ毛が可愛い。体は重いだろうけど、歩き方からは、とても柔軟性を感じる。自然では獲物に刺激を与えないように、水面に余計な波紋を起こさないように、静かに行動することが伺える。

あいにく、上野動物園では、エサを豊富に与えているため、じっと立ち止まってからの重戦車のように突進する狩りは見られない。食べ物に困らないから、そんなことをする必要がない。だから、ここのハシビロコウたちはよく動く。

初めて見ると、『銅像のように動かない』というイメージが覆されるほど、本当によく動く。羽もバサバサするし、ジャンプもする。巣で休んでいる時以外は、10分ぐらいねばって見ていれば、大抵の行動を見ることができる。

また、小さいサイズの魚ばかりを与えているので、ついばんで飲み込む食べ方しか見ることができない。願わくば、たまにでいいのでショーとして巨大な魚を与えるところを見せて欲しい。野生のハシビロコウが、自分の口ばしと同じくらい大きな魚やナマズを一飲みにするのと同じようなシーンを見られるとより楽しい。

ハシビロコウは雨があまり好きではないみたい。雲行きが怪しくなってきてポツポツと振り出してくると、大きな体を細い足で運びながら木陰や草陰へと身を潜めて雨宿りをする。

ジっとするのは得意だから、苦ではなさそう。

太陽が顔を出す晴れた日には、元気になる！パッチリ、キラキラ、目が眩しい。

なんと希望に満ちた目をしていることか。彼の背中について行きたくなる。

体はデカいし、目つきは悪いしで、怖そうな雰囲気が先に立つけど、ちょっと見ていると、行動やディテールがとても可愛いことに気付く。人にも懐く。飼育員がそばに居ると、近寄ってきてクチをパクパクして甘えてくる。

5羽ともちゃんと名前がある。アサンテ、シュシュ・ルタンガ、サーナ、ミリー、ハトゥーウェ。どこぞのサッカー選手みたいな名前で面白い。

上野動物園にいるハシビロコウの魅力を伝えるには物足りない写真ではあるけど、これで少しでもハシビロコウを楽しんでもらえると嬉しい。

5ヶ月後のハシビロコウの様子はこちら。

上野動物園の公式ページ

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