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日陰で動き回る動物を、檻を消して撮影する

 
2011-11-24 06:15 Good(0) Comments(0)
in How to - ハウツー, Camera - カメラ
ユキヒョウ - Snow Leopard
ユキヒョウ - Snow Leopard

デジタル一眼カメラ(PENTAX Q)とデジタル一眼レフカメラ(EOS 60D)を使い始めてから、写真を撮る練習をしている。マニュアルフォーカスでピントを合わせるのは、だいぶ慣れてきてスムーズにできるようになった。そこで、もう一つ難しい練習を始めた。

『暗い日陰で動き回る動物を、檻を消して綺麗に撮影する』

これは色々とカメラの設定や撮影状況に気を遣うことが多くて難しい。

練習の材料に選んだのは、東京の郊外にある多摩動物公園に居るユキヒョウ。落ち着いて動きが少ない2頭の大人のユキヒョウと、常に活発に動き回っている3頭の子供のユキヒョウがいる。

撮影機材は、EOS 60Dと、EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS IIレンズと、EF-S55-250mm F4-5.6 IS IIレンズ。


クリアしたい事を細かく分けると以下になる。

  • マニュアルでピントを合わせる
  • 檻を消す
  • 日陰で動く被写体を画質を落とさずに撮る
  • 躍動感を出す
  • 狙った構図に収める

ピント合わせについては、スムーズに合わせられるようになってきたんだけど、その他の事に期を取られて疎かになってしまうこともしばしばあった。

檻を消すことについては、檻にカメラを密着させられる状況なら、どんなレンズでもカメラでも檻を写らなくする、又は消えるようにボヤけさせる事は簡単なんだけど、ここのユキヒョウ舎の場合、檻の周り約1メートルほど離れたところに鉄柵があって、見物客が檻に接近できないようになっている。そのため、標準ズームレンズ(EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS II)だと、檻がボヤけきらずに写真にしっかりと写ってしまう。

ユキヒョウ - Snow Leopard

そこで望遠ズームレンズ(EF-S55-250mm F4-5.6 IS II)の出番。これだと、望遠側にすればするほど檻がボヤけて目立たなくなるから、被写体をすっきり写せる。

ユキヒョウ - Snow Leopard

それでも、良く見ると、縦と横になんとなくボヤっとした感じの太めの線が入ってしまう。僕が持っている機材、EOS 60D ダブルズームキットでは、これ以上どうしようもない。

望遠レンズでも広角側にもってくると、檻は段々はっきりと見えてきてしまう。

ユキヒョウ - Snow Leopard

あと、被写体が檻に近すぎると、どうにも手の打ちようが無い。

ユキヒョウ - Snow Leopard

ということで、檻を消して撮影する基本的な条件は、撮影者が檻に密着することと、被写体が檻から離れていることで、この多摩動物公園のユキヒョウ舎の場合は、それプラス、中望遠以上のズームレンズが必要ということが分かった。


それで、望遠で檻を消すというのはいいんだけど、これにはデメリットがある。

被写体がアップになってしまうこと。

檻の中の奥行きがあればまだいいんだけど、ここのユキヒョウ舎の場合は奥行きが無いから、檻を消して撮った写真は全部クローズアップになってしまう。斜めから撮っても大差ない。

僕は引いた写真を撮りたいんだけど、ここでそれをやるのは不可能だと分かった。


さて、檻を消すのは出来たとして、ここでの写真撮影で難しいのは日陰という悪条件であること。しかも動き回る被写体。シャッタースピードを上げて撮るんだけど、上げると暗い写真になるからISOを上げることになる。ISOが上がると画質が落ちる。画質を落としたくないからISOを下げる。下げると暗くなる。明るくしたいからシャッタースピードを下げる。被写体がブレる。ブレるのが嫌だからシャッタースピードを上げる。上げると・・・・・(最初に戻る)、と、なる。

明るさと解像感を稼ぐためにF値を開放ぎみにするんだけど、そうすると被写界深度が浅くなりすぎる。かといって、絞ると暗くなるし解像感が失われる。何かを取って、何かを捨てるしかない。

遅いシャッタースピードで撮ったためにブレた写真。シャッタースピードは1/80秒。そもそもピントが甘いというのは置いておいて、親の背中に飛びかかろうとしているユキヒョウの子供がブレているのがよく分かる。

ユキヒョウ - Snow Leopard

ブレるよりは、暗めだけどしっかり写っている写真の方がいいから、シャッタースピードを上げて撮った。シャッタースピードは1/800秒。家でパソコンの画面で冷静に写真を見てみると、無駄に上げているような気がした。1/320秒~1/640秒の間で目的の雰囲気を出して撮れそうな気がする。

ユキヒョウ - Snow Leopard

ユキヒョウ - Snow Leopard

この記事に掲載している殆どの写真は、デジカメで撮ったJPEG画像をパソコン上で明るさを少し上げてJPEGで再保存しているけど、その後気付いた点もあって最初からもう少し明るく綺麗に撮れる気がするから、今度行った時に試してみる。ただ、もともと暗い場所でその雰囲気の中でユキヒョウを見て感じた時にシャッターを切っているわけだから、訳も無く明るい写真にしてしまうのは違う。その場で感じた雰囲気を、写真を見た人にイメージさせるために、感じた雰囲気を残すか強調するように撮りたい。

躍動感を出すことについては、ただシャッタースピードを上げて止めればいいという感じはしない。シャッタースピードだけじゃなくてピントの具合も大きく関わる。背景のブレ具合や構図も関わる。

狙った構図に収めることについては、アップでしか撮れないから、その中で構図を決めるしかない。するとどうしても資料的というか図鑑的というか、そういう写真になってしまう。ジャンプする瞬間や、崖から落ちる瞬間、じゃれつく瞬間を撮影しても、撮った本人はチャンスをものにしたという喜びと労力と、写真に写っていない周囲の状況や前後の行動を知っていることからイメージを膨らませやすいこともあって、盲目的に良い写真に見えてしまうんだけど、ただ普通に写真だけを見た人にとっては、『へー、ジャンプしてるところを撮ったんだ。・・・で?』となる。『可愛い』が付けばラッキー。『綺麗に撮れてる』も付けば御の字といったところ。

音楽でいえば、『ドとミとソを同時に鳴らせば明るい響きになった!』といったところじゃないかと思う。ジャーン!とその響きだけ聞かされても、『・・・で?』となる。それをどう使うかが大事だから、これからが面白いところだと思う。

写真にしろ音楽にしろその他の制作物にしろ、他人の作品を見て何もイメージできずに楽しめなかったら、『イメージできる体験が足りない』と自分を戒めるのはとてもいいこと。だけど、逆の立場になった時、見る人に『想像しろ』と期待するのは間違い。何を感じ何を思うか、また、何も思わないか、ということは、作品を楽しむ人それぞれ自由。こちらが意図しないことを感じとるお客さんもいる。それは間違いではない。それで正解。

今はカメラの操作や設定といった技術的な部分の練習と、基礎的な構図などを重点的に勉強しているけど、ゆくゆくは感じたことをしっかり伝えられる、又は色々な事を想像させて楽しませる写真を撮りたい。


暗い場所、動き回る被写体、これで檻という障害物を出来るだけ消しながら、且つ、画質を落とさないで撮影するのは難しい。ここのユキヒョウは子供達が常に動き回っているから、本当に良い練習になる。

そうはいっても、ユキヒョウは可愛いけど特別に好きというわけではないから、そういうものを立て続けに練習材料にすると、段々と苦痛になってくる。あと一回やり残した事を試すのと、設定をより細かく詰めてみて、それでユキヒョウを使った写真撮影の練習を終わりにする。

ユキヒョウ - Snow Leopard



おまけ。

ユキヒョウ - Snow Leopard

ユキヒョウ - Snow Leopard

ユキヒョウ - Snow Leopard

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