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エナウェネ・ナウェの人々 - Os índios Enawenê-Nawê

 
2012-06-29 22:27 Good(13) Comments(0)
in Free Talk - フリートーク, Brazil - ブラジル

ブラジルの先住民族エナウェネ・ナウェ - Enawenê-Nawê in Brazil

東京電力の原発問題、芸能人による生活保護の受給問題、1万人以上もの一般市民によるデモ行動など、本来巨大メディアが公正にしっかりと放送しなきゃいけないような出来事が今の日本ではたくさん起きている。

だけどこれらは概ね、当該メディアと当事者間の利害関係の保持のため、残念なことにまともに放送されずにきている。

一般人の情報源が新聞やテレビが主だった時代に比べると、それらが取り上げない出来事でも今はインターネットで誰でも簡単に知ることができて更に、伝達、拡散、共有できる時代になっているから、既存の巨大メディアが放送したがらない事でも簡単に知れ渡る。

2011年3月11日の東日本大震災以来の日本の各メディアの行動を見ていると、『公正な立場での放送』など建前でしかなく、『利益優先の偏向報道』が基本スタンスであることが、あからさまに知れ渡る状態になっている。

そんな状態を見かねて、インターネット上の掲示板やSNSを利用して声を広めていこうとする人がいる。これ、何も日本だけのことじゃなく、日本の反対側の国ブラジルでも同じような動きがあり、巨大メディアが何かしらの理由で放送しない問題も一般市民の間では重要な事として広く知れ渡ることがある。

その中の一つが、

先住民族との問題。

日本の面積の約23倍という広大な国土を持つブラジルには、今でも原始的な生活を続けている先住民族が点在している。たぶん、未だに発見されていない部族もいるかもしれない。

そういった民族に対する姿勢は、人それぞれ立場や目的によって異なっている。それら民族の生活を脅かすことがないように静かに見守ろうとする人々もいれば、自身の利益のために多少の侵害は構わないという人々もいる。

先住民族の一つに、エナウェネ・ナウェ( Enawenê-Nawê 、又は Enáuenês-nauês )という民族が居る。彼らは、ブラジル西部のマト・グロッソ州(Mato grosso)の北西部にあたるアマゾンのジャングルが広がる土地で生活していて、1974年に近代文明人(いわゆる我々)と初めて接触した。

ブラジルの地図 - Brazil Map
ブラジルの地図 - Brazil Map

当時は100人程度の少数部族だったけど、今は600人ほどいて、彼らの生活圏を流れるジュルエナ川( Rio Juruena )の支流やプレト川( Rio Preto )で魚を獲って生活をしている。

近代文明人と接触した後も、彼らの儀式や文化などはほぼそのまま受け継がれてはいるものの、近年、彼らの生活を脅かす事態が起きている。

彼らエナウェネの人々の生活圏であるジュルエナ川沿いに小規模の水力発電所とダムが多数建設され、そのせいで彼らの糧である川の魚が減少している。

また、材木に使うためにエナウェネの人々の生活圏にある森林を伐採し、伐採業者による土地の占拠も行われている。

1996年にブラジル連邦政府は、彼らの生活圏を正式に認めたものの、生活圏の一つであるプレト川を除外した。

いずれも森林伐採による環境破壊や生物の減少を引き起こしている経済活動と共に、先住民族であるエナウェネ・ナウェの人々の文化、生活、人権等を一方的に侵害することになっている。


ブラジルの先住民族エナウェネ・ナウェ - Enawenê-Nawê in Brazil

そんな中、今月6月5日の世界環境デーの後、中旬にブラジルのリオデジャネイロでRIO+20(リオ・プラス・20)という、自然環境保護と経済発展の両立を目指す持続可能な開発をテーマにした国連会議が開催されていた。

それに伴いブラジル現地のメディアはRIO+20に関連した自然保護と産業発展の両立をテーマにした番組を放送しているけど、その中で、エナウェネ・ナウェの問題については一切触れていない。

僕が実際に見ていないTVかラジオの番組の一部では、軽く触れるところもあったみたいだけど、エナウェネ・ナウェの生活を脅かすほど重大な侵害があることは伝えてないみたいで、その報道姿勢が先住民の安定を支援する団体を始め一部の市民に火をつけている。

産業発展の被害に遭う問題はどこにでもあるんじゃないのと思いきや、この問題は上記3つのゴタゴタ以外にも、20年前にエナウェネの生活圏を守る活動をしていたヴィセンテ・カーニャス・コスタ( Vicente Cañas Costa )という宣教師が、その活動が原因で殺害されるという事件も起きている。しかも殺害に関与した3人の被告は無罪で裁判終了になっている。

よく分からない。なんだかとっても黒い力を感じる・・・・。


これ以外にもまだまだ先住民エナウェネナウェの暮らしを守る闘いの歴史はあるんだけど、このブラジル現地の事情を知った時、上記のことに驚くと同時に、小規模の水力発電所をポコポコ建てていることにも驚いた。なぜなら、世界最大の発電量を誇る水力発電所のイタイプ発電所と他数箇所ぐらいで、水力による発電は十分間に合ってそうに思っていたから。

イタイプ発電所の近くにあるイグアスの滝には以前行ったことがあって、そのパラナ川水系の圧倒的な水量を目の当たりにしてる。また、ブラジルには有名なアマゾン川水系もあるし、アマゾン川より巨大な地下水流もあるしで、水資源は豊富な国だから、小さい水力発電所を建てるイメージがなかった。

だけど、ブラジルの発電比率は、水力が約8割を占めているだけのことはある。

豊富な水量を誇るイグアスの滝でも枯れる年もあるし、備えとして多くの発電設備を持っておく一面もあるのかもしれない。

イグアスの滝 - Foz do Iguaçu in Brazil
イグアスの滝 - Foz do Iguaçu in Brazil

水力発電は『自然の水の流れを利用するもの』って感じで自然環境に優しいイメージがあるけど、実際にはエナウェネ・ナウェの生活環境の悪化に見られるような自然破壊を引き起こすこともある。

これは一般市民が知るべき、また今や自然は世界の宝でもあることから、それを多く有するブラジルの一内情は、正しい姿のメディアであればしっかり報道すべきもの。

だけどそうはなっていない。

『エネルギー』、『メディア』、『政府』、と出てくると、必要な情報が出てこない。

それがネットで知れ渡る今の社会。

こういうところはブラジルも日本と同じ。

ただブラジルは露骨すぎる。『はっきり見える悪魔の手』というべきか、善悪は抜きにして、もうちょっとこっそりやってはどうかとアドバイスしたくもなるほど。その分かりやすさが僕は好きなんだけど、悪いことはダメ。そういうのは良くない。


地球上にはエナウェネ・ナウェのような民族もいる。こういうのはそのままそっとしておいて欲しいものだけど、70億もの人口の増加、逼迫する資源事情がそうはさせないのかもしれない。

自然の生き物を参考にすると、増えすぎた生物って、どっかで滅ぶよ・・・・(汗)。

どうなるんだ?ニンゲン。



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おまけ。

エナウェネ・ナウェ族はサッカーのようにボールを使った遊びが上手いことで知られている。偶然にもブラジルとされた地域に居たっていうのが面白い。

とても特殊なルールで、使っていいのは頭だけ。どんなに地面スレスレの低い位置のボールでもヘディングで返す。

頭で返せず体の他の部位に当たったら負けみたいなんだけど、見てもどう決着がついているのかよく分からない。

エナウェネ・ナウェのゲーム

ただ、身体能力が凄いのはよく分かる。


おまけ2。

今時の子供達はインターネットでメディアの実情を知ることができ、そもそもテレビはそういうものなんだという認識で育っていく。そうした世代がこれから増えていくにつれて、より一層テレビ離れが進むと思うよ。

僕は子供の頃、『テレビが言うことにウソはない』と思っていた(笑)。いつしかそれが現実になってくれると、こんなに頼もしいことはない。

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