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イグアスの滝周辺は融通が利かない

 
2012-05-19 10:06 Good(2) Comments(0)
in Brazil - ブラジル, Travel - 観光
イグアスの滝への道中 - On my way to Foz do Iguaçu in Brazil
イグアスの滝への道中 - On my way to Foz do Iguaçu in Brazil

ブラジルは国の隅々まで政府が管理しきれていない。多民族、広大な国土、気質、歴史など、その他様々な理由で、日本では考えられないようなデタラメな部分が沢山ある。

だから、日本の価値観からすると信じられないような事が起きるし、主にコミュニケーション能力次第で起こせる。

例えば、とある街角ではマリファナを吸っている観光客を見てみぬふりをしている警官が居たり、発行されないはずのビザ(査証)を『はい、ニンジン一本おまけ!』的なノリで発行する職員が居たり、身分証のチェックを怠る長距離バスの運転手が居たりする。

ブラジルで生活していると、このように良くも悪くも『融通が利く』ことに気づき、それが当たり前になり慣れてくる。

だから割と細かい事を気にせずにバンバン行動できる。必要な荷物とか、期限とか、そういう数値的なことをあまり気にしなくなり、『とりあえず動けばどうにかなる』って感じになる。

ところが、その素晴らしい『融通』が全く利かない場所がある。それが、

イグアス!

世界的に有名な観光地『イグアスの滝 - Foz do Iguaçu(フォス・ド・イグアス)』がある場所。ブラジル南西部のパラナー州にあるイグアスの町は、イグアスの滝を訪れる観光客らの拠点になり、世界中から多くの観光客が集まっている。

でもその割に、町中は閑静で、観光客がうじゃうじゃ歩いている様子はない(シーズンによるかも)。バイーアやリオ・デ・ジャネイロの街みたいにドス黒い空気も漂っていない清々しい町。

僕はリオデジャネイロのコパカバーナに住んでいた頃、このイグアスの滝に観光に行った。そこでこんな体験をする。

イグアス観光を終えてリオへ帰ろうと、イグアスのバスターミナルからリオ行きの長距離バスに乗ろうとした時のこと。

ブラジルでは長距離バスに乗る際、身分証のチェックをされる。ブラジル国籍を持っている人は免許証のような身分証明書を提示し、観光客はパスポートを提示する。

これはイグアスの町に限らず、どこでも同じ。バスの乗務員が必ずこのチェックを行う。長距離バスが発着するホドヴィアーリア(Rodoviária)という総称で呼ばれるバスターミナルでは必ず目にする光景。市内を走るバスではこういうチェックは一切無い。これは長距離バス特有のもの。

先ほどホドビアーリアの乗車券販売窓口で買っておいたチケットに指定されている長距離バスの列に並び、一人一人身分証のチェックを受けながら乗っていく中、僕は自分の順番を待っていた。

そしていざ僕の番になると問題が発生!

何が起きたかというと、僕はパスポートを持っていなかったから、引き止められた。

ビックリした。リオに住んでるし、ちゃんと長距離バスのチケットを買ったのに、パスポートを持ってないぐらいでなぜバスに乗れないのか、と。

だから、引き止められた時は、『今は身分を証明できるものを持ってないけど、特に気にすることじゃないだろ。乗るよー。』ぐらいの感じでいたんだけど、どうやらバスの乗務員は本気で僕を乗せないようだとすぐに分かった。

僕がなぜこんな感じだったかというと、リオで長距離バスに乗った時にも、この身分証のチェックがあったんだけど、『持ってないならいいよ』って感じで乗れたから。

だから僕は長距離バスの身分証のチェックなんて、形式的に行われているもので、実際に現場では格好だけのものだと思っていたから、『別にいいじゃん。乗るよー。』って軽い気持ちで居た。


でも、ここイグアスには他の街には無いちょっと特別な事情があるからそうはいかなかった。


イグアスの街は南にアルゼンチン、西にパラグアイという国がそれぞれ隣接している。特にイグアスの滝はアルゼンチン側との往来が簡単なこともあり、パラグアイやボリビアのように内陸部で繋がっている場所はよからぬ物の密輸ルートとして使われることがあるため、ブラジルの内陸部や東部に違法な輩が散らばっていくのを少しでも防ごうと、隣国と接しているここイグアスでは身分のチェックを厳重に行っている。

外国人がイグアスからブラジル内陸部へバスで移動するには、パスポートチェック無しでは基本的に不可能になっている。

大変な押し問答があったんだよ、その現場では(笑)。

チケット買えたのにバスに乗れないなんて、あんまりじゃないか!

家に帰れないなんて困る!

リオの家にはピポカがお腹を空かして待ってるんだ!

必死にバスの運転手を説得してみたがダメ。他の職員が駆けつけ、そこでまた事情を説明し、乗れるように交渉してみるもダメ。

交渉の余地は一切無い。問答無用。

そんな雰囲気にとても驚いた。『ここは本当にブラジルか?!』と何度も疑った。

結局、チケット売り場でチケットを払い戻すことになり、長距離バスには乗れなかった。

さあ困った。ここからどうしたらいいかな・・・・少しでもヒントになる情報を集めようと周囲をよく観察しつつ、何か行動できる手段があるかと考える。

そんな中、一人の職員が救いの手を差し伸べてくれた。ちょっと上役っぽい雰囲気のおじさん。流石にいろいろと事情を話す中で、雰囲気とか持ち物とかから、不法入国者じゃないことは分かってくれたらしく、パスポートを持ってきていない理由も納得してくれているようで、このチェックの厳しいイグアスの町から出る方法を教えてくれた。100%成功するかは分からない方法だけど、とにかくやってみる価値はあるという感じだ。

どんなイケナイ方法かって?

・・・・

・・・

・・

イグアスの滝 - Foz do Iguaçu in Brazil
イグアスの滝 - Foz do Iguaçu in Brazil

ちっちゃいバスを乗り継いで行けとさ(笑)。

市内をぐるぐる巡回して走るバスや、隣町までちょっと長く走る程度のバスには、身分証明書のチェックは無い。だからそれを利用して、こまごまとバスを乗り継いでいけば、リオにたどり着くというわけだ。

確かにその通り。歩いてもいつかはリオにたどり着く。それぐらいは分かる。

イグアスとコパカバーナは直線距離で1,200kmある。

はっはっは・・・・。

でもこういう単純な発想って、頭や心をリフレッシュさせてくれる。

そして今はそれしかない。とりあえず隣町(っていっても150kmぐらい離れている)まで行く方法と、そこから別の大きな町までの長距離バスが出ていることを教えてくれた。

今すぐ動ける確実な一手段を示してくれたことは、本当にありがたかった。

そうして夜を徹してのバスの乗り継ぎ移動と、サンパウロでは電車移動、また長距離バスに乗り、どうにかこうにかリオデジャネイロのコパカバーナの自宅まで無事にたどり着くことが出来た。

この帰りの道中で、パラナー州のカスカベルとロンドリーナ、サンパウロ州のサンパウロの三箇所の町で長距離バスに乗ったけど、一度もまともにパスポートをチェックされなかった。

その場その場でバスターミナルの職員や運転手らと、又はその場に居合わせた地元の人も交えてよく会話をしていたから、『こいつはちゃんと身分証をチェックした方がよさそうだ』とは思われなかったのかもしれない。

また、『パスポート持ってる?』って感じの雰囲気になった時は、ポル語をよく理解できないふりをしたり、『リオから観光に来たんだ』とか少しズレてる返答をしたりしてかわした(笑)。

『ああ、無ければ別にいいよ(^ー^)』って感じでノリ良くにっこりチェックが終わる。

こうやって大雑把にチェックしないのが僕が知っているブラジルだ(笑)。

こういう内陸部のロンドリーナや大西洋側のサンパウロやリオなどの普通の町でパスポートを持っていないせいで長距離バスの乗車を拒否される人っていうのは、よほど怪しいか、会話を怠って無言でいるか、はたまた運転手の機嫌が悪いか・・・・。何か特別な理由があるんだと思う。

基本的に身分証を持っていなくても長距離バスには乗れるけど、それでもやっぱり持っているに越したことはない。

僕がこの旅行の中で自宅にパスポートを置いてきた理由は、旅先で盗られたり失くしたりしたら困るから。それを懸念して、家に置いてきた。

それが裏目に出てこんなことになった。

住んでいる街中やその近辺での観光なら問題ないけど、州をまたぐぐらいの距離がある旅行をする場合は、必ずパスポートを持ち歩かないといけないとよく分かった。

それは盗られたくないとかじゃなくて、どうしようもないことだから、盗られないようにしっかりと守りながら観光するしかない。


大雑把でノリが良い感じのブラジルだけど、場所によってはとんでもなく厳しい場合がある。イグアスの滝へ観光に行く場合は手荷物をよくチェックしてから、パスポートを忘れずに行って欲しい。


そして、

助けてくれたおじさん、オブリガード!!!!



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おまけ。

大変な帰路だったけど、これはこれで楽しい体験だった。この体験があったおかげで、パラナ州の素晴らしい雰囲気を感じられたし、乱立する沢山のアリ塚も見ることができたし、ロンドリーナという素晴らしい町があることも知ることができた。

夜通しバスに乗ったのが大変だったというだけで、全体的には楽しいことばかりだった。

イグアスの滝、清涼感あるイグアスの田舎町、鳥の公園など、イグアス周辺には素晴らしいスポットがあるから、一度観光へ行ってみて欲しい。

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