金銭のやり取りをした時に受け取るレシートや領収書やその他領収証となる代替物は、何か問題が起きたときに強い見方になることを知っているから必ず大切に保管しておく。例えば、店で買った商品が不良品だった場合、レシートがあれば正常な商品にすぐ交換できるなんてことがあるから。

だけど、長距離バスのような交通機関を利用した時に乗車券から千切って渡される半券に対して、僕は何かの役に立つかもしれないという意識が低かったから、乗り終わったらもうどうでもいいよという感じでとても雑に扱っていた。

もちろん、乗っている時は大切に所持しているけど、乗り終わったらポイッて感じ。

僕はブラジルに住んでいた頃、そんな長距離バスの乗車券の半券の大切さを思いしるこんな出来事に遭遇する。

リオデジャネイロからパラナー州にあるイグアスの滝へ観光に行った時のこと。

行きはイグアスへ向けた長距離バス一本ですんなり行ける。イグアスの滝や鳥の公園なんかを観光したり、清々しい田舎町を散策したりと、イグアス周辺の観光を楽しんだ。

さて、帰る時。

イグアスの町にあるホドヴィアーリア(Rodoviária)という総称で呼ばれている、主に長距離バスが発着するバスターミナルへ行った。そこから長距離バスでリオへ帰る予定だった。

乗車券売り場でチケットを買った。

ここまでは特に問題ない。あとはバスに乗るだけ。

目的のバスが到着して、乗客が順番に乗っていく。乗車券はバスの乗降口で乗務員がチェックする。

そこで僕より前の人たちを見ていて、あることに気付いた。

『身分証明書をチェックしてる・・・・』

ブラジル国籍を持っている人以外はパスポートでこれを行う。

パスポート・・・・

持って来てないよ！！！！

・・・・ということで、そのバスに乗れなかった。。。。

乗務員を必死に説得してみたがダメ。全く相手にしてくれない。そうやってゴチャゴチャと押し問答をするうちに、この乗車券を買った販売窓口へ行くことになった。

そこで僕は乗車券を売った販売窓口の男性に『チケットを買えたのにバスに乗れないなんておかしいよ』と言ったら、その販売員の男性は困った顔をしながら『・・・・パスポートが無いなら、、、、リオからイグアスに来たときに乗った長距離バスの乗車券の半券はあるか？』と聞いてきた。

僕は自分の手荷物を探すも半券は出てこない。

そして今朝の自分の行動を思い出した・・・・。

今朝ホテルを出るときに、部屋のゴミ箱に半券を捨ててきた！！！！

・・・・ということで、お手上げ。

この販売員は何をしたくて僕にリオからイグアスに来た時のバスの半券の提示を求めたかというと、僕がアルゼンチンやパラグアイから不法入国をしてきた人間じゃない事を裏付けられる証拠があれば、救いの手を差し伸べられるかもしれないと考えたから。

イグアスの町は南にアルゼンチン、西にパラグアイというように二国が隣接している国境沿いの町で、特に観光客の往来が激しい場所。そこでどさくさに紛れて不法入国してくる奴をくい止めるために、リオやバイーアのような大西洋沿いやロンドリーナのような内陸部の町よりも警戒を厳しくしている。

だから、大大大サービスで最後の最後の最後の手段として『半券があれば・・・』ってことだったんだけど、それも無く、もう本当にどうしようもない状態になってしまった。

半券！！

こういう事もあるから絶対に捨てちゃダメ！もう本当に用件が済んで、絶対に必要になることが無いと分かるまでは、大切に保管しておいた方がいいと身にしみた。

まさか帰りのバスで、行きのバスの半券が必要になるなんて夢にも思わなかった。

ブラジル国内で観光をするのなら、行って自宅へ帰ってくるまで、日本からブラジルへ旅行に行くのなら、日本へ帰ってくるまで、全部保管するのがいい。

結局、途中から現れたちょっと上役っぽいおじさんが、リオへ帰る別の方法を教えてくれて、そのおかげで無事に家に帰ることができた。大変な帰路だったけど。それでも帰れないよりは全然嬉しいし、強烈に記憶に残る1,200km（直線距離）の旅になった。

僕はイグアスの滝への観光を、リオデジャネイロのコパカバーナの自宅近辺にあるコルコバードの丘やポン・ジ・アスーカルのような観光名所に行くのと同じような気軽な気持ちでいた。泊まる分の着替えは持っていかなきゃ、、、ぐらいのノリ。

それに、何か問題が起きた時は話せば解決できると思っていた。まさかブラジル国内に、しかも普通に町中で、1ミリも融通が利かない厳しい場所があるとは思わなかった。空港やお役所に行くならまだ気を引き締めて行くけど。

長距離バスを利用して州をまたぐような観光は、近場の観光とは勝手が違う部分が出てくるから、海外へ旅行に行くぐらいの感覚で準備をする方がいいとよく分かった。

これからブラジルへ旅行に行く人は、このことをちょっと頭の片隅に置いておいて、バスに限らずありとあらゆる半券も旅行が終わるまで大切に保管しておくことを心がけて欲しい。こうやって、不要なただの紙切れが、違う場所で不意に神様に早代わりすることもあるから。

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おまけ。

半券を大切に！！

くどいようだけど、半券はその観光が終わって自宅に着くまで大切に保管しておくことを勧める。

それと、基本的に長距離バスではパスポートの提示を求められるんだけど、イグアスみたいに厳しい町じゃない限り、大抵はパスポートを持ってなくても乗れる。

乗れるけど、やっぱりちゃんと持っていた方がいいよ。安心できる。

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