ブラジルの北東部に位置するバイーア州にサルバドール(Salvador)という町があって、僕はその町に住んでいた。そこで生活するうちに出会った楽器の一つがこのカシシ。

ブラジルポルトガル語ではCaxixiと書く。

ブラジル発祥の楽器というわけではなく、元はアフリカの楽器。ブラジル、特にこのバイーアではアフリカにルーツを持った楽器、特に打楽器を沢山見る事が出来る。このサルバドールという町は、敬愛を込めて州と同じ名前でバイーアと呼ばれるのと同時に、俗称として打楽器の町とも呼ばれるほど、町中には打楽器が溢れかえっている。

このカシシは、いわゆるシェイカーという楽器と同じで、シャカシャカ振って音を出す。

写真と音を交えつつ、カシシの仕組みはこんな感じ。

植物のツタを裂いて平べったい紐状にしたものを、乾燥させたヒョウタンの皮を土台にして編みこんで籠状にし、中に植物の種を適量入れている。

バイーアで僕が作ったのは割とオーソドックスな形のカシシ。デザイン性に優れたものは沢山ある。

横からみると不恰好さが目立つ。なんとなくトトロっぽい。

指にひっかけて持ちやすいように取っ手を付けている。

カシシの持ち方はこんな感じになる。自分が演奏しやすいように持てばいいけど、だいたいこんな風に中指と薬指に引っ掛けることになる。

カシシの音はこんな感じ。

聴いての通り、柔らかめの音と硬めの音の2種類がある。

柔らかい音の方は、ツタの籠に中身の種がぶつかった時に発生する音。音量は小さめで、こもったような感じの音になる。

硬い音の方は、乾いた瓢箪（ひょうたん）に中身の種がぶつかった時の音。音量は大きく、高音がきつく明るく乾いた音で抜けが良い音になる。演奏していると耳が痛くなるほど。

Caxixi - カシシの作り方はとても簡単で、土台に通した複数本のツタを軸にして、グルグルグルグル巻いていけば自然と籠の形になる。機織よりは全然シンプルで簡単。

カシシを作るときには、ツタを常に水で湿らせながら作業をする。ツタが乾いていると、しなやかに曲がらなくなって折れたり裂けたりして編みこみがやり難くなってしまう。ツタを常に湿らせる。作る時のポイントはこれだけ。

作り方が簡単なだけに、いろんな面白いデザインのカシシが生まれているんだと思う。

ブラジルのサルバドールではこんな感じで作ったけど、材料は何でもいい。編みこめる物であれば、丸い形状のツタや紐だって構わない。中身も種じゃなくても構わない。小豆や小石や銀玉（若い人には通じない？）やBB弾なんかを入れても面白そう。違う材料を組み合わせて作れば面白い音のカシシがいろいろ出来て楽しい。

カシシはバイーアに行くと嫌でも目にするし耳にする。小さくてお土産にもしやすいから、行った際には一つ自分のカシシを買ってくると良い思い出になると思うよ。

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