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カシシの作り方

 
2011-09-16 12:14 Good(3) Comments(0)
in How to - ハウツー, Music - 音楽
バンブーカシシ - The Bamboo Caxixi

ブラジルで使われている楽器、カシシ(Caxixi)の作り方はとても簡単。

一見編みこんでいて複雑そうに見えるカシシだけど、実は一つ手にとって外観を見ただけでも作り方が分かるほどシンプルな作りをしている。それだけに、デザイン性に優れたカシシが沢山あり、自分だけのオリジナリティを出しやすい楽器だけに自作する楽しさも大きい。

僕はブラジルのバイーアに住んでいたときにこの楽器に出会って作り方を覚えた。日本で現地とまったく同じ材料が手に入るかは分からない。ただ、籠状に編みこめる材料であれば何だって構わない。『こうじゃなきゃダメ!』なんて決まりはないから気楽に作って欲しい。

そんな訳で、つい先日カシシに関する記事を書いたことがきっかけでカシシ制作の熱が5年ぶりに燃え上がったので、日本の町中の100均ショップで材料を調達して作った。ここでは、そのカシシの作り方を紹介する。

カシシの作り方
材料
  • 薄く細く割いた竹
  • 籐や竹など、割いて細く平べったい紐状にできるものであれば何でも良い。
  • 湯のみぶた
  • 底板にできる物なら何でも良い。
  • 小豆
  • 大豆や小石やBB弾など、音が出そうな物なら何でも良い。軽いものを使うと音が小さくなり、重いものを使うと音が大きくなる。


カシシの材料 - Caxixi Materials

ある程度丈夫で曲げても折れにくく編みこめる紐状の材料が見当たらなかったから、竹で編んだゴミ箱を購入した。これをバラしてここから材料を調達する。

大部分が竹になるので、バンブーカシシといったところ。

丁度いいサイズの湯のみぶたがあったので、これにした。プラスチック製。木製のコースターや竹製の柄杓もあったから、作るときに加工できる十分な工具を持っている人はこういった物を利用するといい。


カシシの材料 - Caxixi Materials

家にあった小豆を使った。仕上がって振ってみて分かったのは、小豆だと音が小さいということ。大きい音が必要な人は、もう少し硬質な材料を使うといい。


作り方
1.底板の準備

円形に沿って12箇所の穴を開ける。この穴に紐を通すので、それにあった大きさに開ける。

マジックで目印を書く。

カシシの底板 - The bottom slab of Caxixi

穴と穴の距離は均等にする。そんなに正確じゃなくても大丈夫。


この底板に使用する湯のみぶたはプラスチック製だから、針金を熱してその熱で溶かして穴を開けた。

針金 - Thin Wire

開ける穴の横幅に合わせて針金を曲げた。


穴を開けたところ。

カシシの底板 - The bottom slab of Caxixi

淵が汚いので、ナイフやヤスリを使って大雑把に削った。穴がちゃんと開いていればそのままでも特に問題はない。

カシシの底板 - The bottom slab of Caxixi

湯のみぶたのツマミはそのままにしておいた。ただの愛嬌。


2.支柱を作る

支柱にする紐は全部で6本。カシシの大きさに合わせた長さにする。ここでは余裕を持たせて70センチほどにしてあって、オーソドックスな手のひらサイズのカシシであればこれで十分。

カシシの支柱 - The mainstay of Caxixi

カシシの支柱 - The mainstay of Caxixi

1本の紐を真ん中で二つ折りにする格好で、隣り合った2個の穴に通す。曲げている部分が折れないようにしっかりと水で濡らしてからやる。


6本全部通すとこんな感じ。

カシシの支柱 - The mainstay of Caxixi


3.編み込む

籠を編み込んでいく。写真のようにどこから始めてもいいので、支柱に交互にからめながら巻いていく。

カシシの作り方 - How to make a Caxixi


注意点が一つ。支柱が全部で12本あるので、全部交互にしていると偏ってしまい、がっちりと編み込むことができない。この問題を解消するために、どこか一箇所の支柱を2本まとめてまたがせる。

下の写真でいうと、右の2本の支柱がそれ。2本まとめて交差させているのが分かると思う。それ以外は1本ずつ内側、外側と交互になるように巻いていく。

カシシの作り方 - How to make a Caxixi

巻き始めて2段目に入るところは底板との間に隙間が出来やすいので、特にしっかり締めることを心がける。


巻いている紐が終わったら、新しい紐を継ぎ足して巻く。特に難しいことはなく、そのまま重ねて巻き続けるだけで十分しっかりした作りになる。

カシシの作り方 - How to make a Caxixi


ギュッギュッと底板の方へ詰ながら無駄な隙間ができないように編んでいく。

支柱が底板から抜けないように、緩まないように、時々チェックしながら編んでいく。

巻き上げていくにしたがって、少しずつ円を小さくしていく。

ちょっとずつちょっとずつ縮めていく。一気に小さい円にすると、隙間ができてそこから中身がこぼれ出てしまう。

カシシの作り方 - How to make a Caxixi

巻いている途中でも、紐が乾燥しないように常に水で濡らす。バケツに水を汲んでおいて、手元に置いておくと作業しやすい。そこにポチャッと浸けながら進めていく。

慣れてくると交差の順番をうっかり間違えやすい。特に2本まとめてまたがせているところ。そうすると間違えた所までほどくはめになるので、十分注意して欲しい。精神的にまいるから(笑)。


4.上蓋を作る

ある程度編みあがったら、支柱を5本、5本、1本、1本に分ける。

カシシの作り方 - How to make a Caxixi

対角線上に分けた1本は、取っ手になる部分。ここから先は5本の束の片方だけを編みこんでいく。ここが蓋になる部分。残りの5本の束はそのまま置いておく。

カシシの作り方 - How to make a Caxixi

だいたい4段ぐらい編めば十分。ここは特に急な曲げが生じるので、巻いている紐を十分濡らすことを忘れずに。

一つポイント。この5本だけで4段ほど編み込む段階の手前で新しい紐に変える。すると、5本の束を編みこんだ時に紐に余りが出来て、その余りを利用して取っ手の部分をグルグル巻いていくことが出来る。

変えられなければ無理に変えなくてよい。取っ手の部分はその時に別の紐を使えば済む。


5本ずつ分けた2つの束を組んでいく。左右の手を組むのと同じで、小指は小指へ、薬指は薬指へと、それぞれ支柱を差し込んでいく。

カシシの作り方 - How to make a Caxixi

この支柱を差し込む作業は、下手すると最難関ポイントになる場合がある。既にガッチリ編みこんでいる所に、もう1本の支柱を通していくので、きつい。グニャッとなってブチッと切れたら終わりなので、慎重に行って欲しい。そして、水に濡らすことを忘れずに。

1本挟み込んだところ。取っ手部分の両隣の支柱。

カシシの作り方 - How to make a Caxixi


2本ずつ、合計4本を差し込み終わったところ。

カシシの作り方 - How to make a Caxixi

すんなり通る場合もあればどうしても通らない場合もある。通らない場合は先が細くなったラジオペンチなどで摘まんでちょっとずつ引っ張る。


両側2本ずつ通したところで小豆を入れる。好きな量を入れて構わないけど、僕はだいたいカシシの高さの1/5~1/6程度を目安にしている。中身を入れながらちょっと振ってみて、扱い安さや音の具合を確かめながら自分の好みを見つけるといい。

カシシの作り方 - How to make a Caxixi


小豆を入れたら、残りの6本をお互いに通し合う。上を閉じる格好になる。

カシシの作り方 - How to make a Caxixi

実はこれちょっと失敗している。最後に5本だけで編んだ部分がきつ過ぎて、対面の支柱が入らなかったから、そこを飛び越して5本だけで編む直前のところから差し込み始めている。だからこうやって上の蓋の部分に縦に走る支柱が見えてしまっている。この竹が千切れやすかったので、無理に通すのはやめたけど、出来るならちゃんと通した方が見栄えが良くなる。

写真の2本上に伸びている支柱は取っ手になる部分で、左に伸びてるのは巻いた残りの紐。

余った紐の長さが少ない場合は、この段階で取っ手になる支柱と同じ所に差し込んで固定する。

5本だけで編み始める手前の段階で紐を変えるのは、ここでの苦労を減らすため。取っ手になる部分には、その支柱と、対面の支柱と、巻き上げてきた紐と、取っ手を巻く紐の合計4本を通さなければいけない。とてもキツい。だけど巻き上げてきた紐に取っ手に巻く紐も兼ねさせてしまえば、その部分を2本で済ませられる。

ただ、無理にやることはない。例えば取っ手に巻く紐はカラフルな布を巻きつけたいとか、色違いの紐を使いたいなんていう場合には片側4本と反対側3本を通すことになる。

カシシの作り方 - How to make a Caxixi


5.取っ手を作る

取っ手部分に分けておいた対極の2本を、お互いに通しあう。

カシシの作り方 - How to make a Caxixi


支柱と横紐が交差する一番上の部分から差し込んで下まで通す。下まで通ったら指で引っ張る。輪の大きさは適当に。

カシシの作り方 - How to make a Caxixi


指を入れながら輪の大きさを調節する。

カシシの作り方 - How to make a Caxixi


両方通すとこんな感じになる。これで取っ手の芯が完成。あとはこの芯に紐を巻いていく。

カシシの作り方 - How to make a Caxixi


下の写真のようにグルグル巻いていく。

籠本体を巻いてきた紐が十分な長さを残している場合は、そのまま巻き始める。そうでない場合は、取っ手の支柱に新たに紐を差し込んでそれを巻いていく。

カシシの作り方 - How to make a Caxixi


カシシの作り方 - How to make a Caxixi

最後まで巻いたら、反対側の支柱と同じ所に通す。長さが十分にあれば下までしっかり通すけど、この取っ手を巻いている紐は緩んで取れる心配がないので、カシシの高さの半分ぐらいまで通れば十分。


カシシの作り方 - How to make a Caxixi

きっちり締めて取っ手部分が完成。



6.引き締めとカット

最後にチョコチョコ引っ張ったり押さえたりして隙間や緩みが無いようにきっちり詰める。特に支柱の底板の部分が抜け掛かっていないかチェックする。

全体的に引き締めたら支柱の余りをカットして完成。

カシシの作り方 - How to make a Caxixi



7.カシシの完成
竹で作った和製カシシの完成!!

カシシの作り方 - How to make a Caxixi

カシシの作り方 - How to make a Caxixi

カシシの作り方 - How to make a Caxixi

カシシの作り方 - How to make a Caxixi


こんな音がする手作りカシシになった。


以前ブラジルで作ったカシシとはだいぶ音が違う。ブラジルのものに比べると、音が全体的に滑らかで音量が小さめ。強い音もそれほど耳に痛くない。サラサラした感じが強い。



今回初めて竹で作った。それで思ったのは、竹は難しい。ブラジルで使った植物のツタよりも千切れやすい。初めて作る人は何かもっと別の材料を探した方がいい。

完成した竹製カシシはブラジルの物より硬く、竹の白い色合いと無数の細いラインがかっこいい。これはこれで良いバンブーカシシが出来た。

制作時間はゴミ箱をバラす所からだいたい4時間掛かった。次はもっと速く作れるようにしたい。

材料費はだいたい150円。竹は半分も使ってないし、小豆もちょっとだけ。また底板になるものを調達してくれば別のカシシを作る事が出来る。

パーカッショニストだけでなく、宴会の小道具として作るもよし、夏休みの自由課題として作るもよし、ブラジル恋しさに作るもよし、簡単なので興味があれば作ってみて欲しい。



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