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バイーアなブロコをやりたい

 
2011-09-14 10:39 Good(1) Comments(0)
in Music - 音楽, Brazil - ブラジル
ペロウリーニョ - Pelourinho

先日の代々木公園で行われたブラジルフェスティバルでは久しぶりにいろいろなタイコの音を聴けて、四六時中あっちこっちから何かしらの打楽器の音が聞こえてくるバイーアの町での生活を思い出したりしてとても楽しかった。

僕はずっとヴィオロンを弾いているけど、それ以外の楽器に全く興味がない訳じゃない。タイコだってとても好き。

実際、以前バイーア(サルバドール)に住んでいたいたときには、スルドを叩いてカーニバルにもちょろっと出場したことがある。スルドとは大太鼓のこと。

そこでバイーアのブロコ(カーニバルでみられるような太鼓を主体としたバンドの総称)の楽しさを知ったわけだけど、これがまた、、、ヴィオロニスタにとってはとんでもないデメリットがあった。

怪我だらけの手 - Wounded Hands

スルドを叩くときはバケタ(Baqueta)と呼ばれるスルド用のバチ(マレット)を両手に持つ。その2本のバケタでスルドを叩く。

30分やそこらの演奏ならどうってことないんだけど、1日何時間も毎日叩いてると、バケタを持っている手が水ぶくれになって、特にバケタが擦れる部分の手の皮がズル剥けになる。

1箇所や2箇所の話じゃない。片手だけでも7箇所ぐらいはできる。

これがヴィオロンを演奏する人にとっては致命的な怪我。なぜなら演奏している時に指板や弦にこのズル剥けした部分がもろに接触するからだ。

痛くてとてもじゃないが弦を押さえられない。

剥けては直ってまだすぐ剥けて、、、日々この繰り返しで、手からは絆創膏やテーピングが常に巻いてある状態になる。

だから、バイーアでスルドを叩いていた時は殆どヴィオロンを弾くことができなかった。

そういう事情があるから、やるならどっちか一方を選ぶしかない。



ブロコはいろんな編成があって、スルド以外にはヘピキ(Repique)、チンバウ(Timbau)なんかがある。カイシャ(Caixa, スネアドラム)が入ることもよくある。

ヘピキはその高く鋭い音でクラーベを刻むクラベス的な役割を果たしている。また、ブロコ全体の響きでは隠れてしまう細かいゴーストノートで陰ながらスピード感を出している。この強弱をしっかり操れるとエンジンを吹かすような勢いっていうかドライブ感が出てかっこよくなる。

チンバウは細かく音を刻みながらブロコのサウンドにスピード感とウネリを出させる。ブロコ全体を引っ張っていったり聞かせたりして彩り豊かにしている。現地でもそんなに見かけなかったけど、チンバウの実音よりもっと上の高次倍音を持続させてブロコ全体の響きの高域に厚みを持たせられるとかっこいい。

こういったスルド以外のものでブロコをやればいいんじゃないかとも思ったけど、ふにゃふにゃとしなる柔らかいシリコン製のバケタ(Baqueta de Silicone)を使って演奏するヘピーキでも、やっぱり手には水ぶくれができる。チンバウは論外。爪が割れるかもしれないけど、それ以前に指先の感覚がイカレてヴィオロニスタ廃業になると思う(笑)。

ブロコをまとめるメストリ(オーケストラでいうところの指揮者)という選択肢もあるけど、僕は演奏するのが好きだから、メストリも悪くないけどやっぱり演奏する方がいい。

カイシャ、、、カイシャね、、、スルド(バスドラムのことで、ブロコの中で低音域を担当している)がいい。フンド(スルドの中でも特に低音部分を担当している)をやりたい。

バイーアではいろいろ事情があってメイオ(スルドの中でも高音部分を担当している)をやっていたけど、実はフンドをやりたかった。

フンドすっげーかっこいいじゃん!

だって、お客さんが一番注目してるのは実はフンドなんだよ。フンドを感じて踊るんだから。踊り出すために探している1拍。その1拍はフンドなんだ。

フンドがしっかりしていれば、チンバウも安心して自由に遊べるし、何よりお客さんが踊れる。

フンドがしっかりしていれば、他のパートが下手クソでもブロコのサウンドは強固に聞こえるし、何よりお客さんが踊れる。

手数が少ないから一番簡単に見えるスルドのフンドだけど、実は一番責任重大なパート。踊れるか踊れないかが掛かってる。踊るための音楽なんだから。

ブロコは巨人

その巨人が行進する足音。それがフンド。僕はそんなイメージを持って演奏していた。

ちなみに、スルドのメイオは、ソロっぽいことやリズミックフィラーで目立つこともあるけど、基本的には、その巨人の足音であるフンドの1拍を引き締める役割と、より大きく感じさせる役割が大きい。ゲートリバーブやディレイみたいなもの。打ち下ろすタイミングでそのフンドの1拍がタイトなものになるか、それとも膨らみを持たせたものになるかが決まる。やや早めに入れるとかっこいい。


僕は子供の頃からギターを弾いていて、やっぱりギターって楽曲の中で割と華やかな部分を担うことが多くて、スルドみたいに縁の下の力持ちということを体験する機会が少なかった。

だから常日頃そういうことが頭にあった中でのスルドとの出会い。バイーアでのブロコ体験は願っても無いとても良い機会だった。


日本でもブラジル北東部のリズムをやっているブロコはいくつかあるけど、そんなブロコを見るたびに楽しくなるし羨ましくもなる。

僕が出来ない分も思いっきりやってくれー!

仲間とブロコでズンドコズンドコとサンバヘギなんかをやるのは楽しい。何らかの理由でヴィオロンを弾けなくなったら間違いなくブロコをやる。



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