ブラジルにはいろんな音楽がある。僕がここで言っているようなショーロやサンバだけじゃなく、日本で聞こえてくるようなポップスやロックもある。色々とタイプが違うライブへ足を運んでみると、会場の雰囲気が全く違って本当に面白い。

リオ・デ・ジャネイロのイパネマやコパカバーナ周辺で見られるいわゆる『日本人が言うところのボサノバ』を楽しむことができるショーレストランなんかでは、テーブルと椅子があって、食事をしながらショーを楽しむ。たまに踊る人もいるけど、大抵は席に着いたまま楽しんでいる。

現地人が行くようなショーロの生演奏を聴きながら飲んで踊れる場所は、テーブル席は店の周囲に配置されていて、真ん中のスペースは皆が自由に踊れるように空けてある。決して広いフロアーというようなものではないけど、またそういう空間がとても楽しい。

ブラジルのリオデジャネイロにホワイトスネイクというロックバンドがやってきた時に、逃さずチケットを買って行った。10代の頃大好きだったバンドの一つで、『まさかブラジルで！』との感動で大興奮。

彼らのライブは大きなコンサートホールで行われた。会場は椅子が無い円形のフロアーで、それを取り囲むように二階席がある。ブラジルではこういう椅子がないフロアーの立ち見形式がよくあって、この席のことをピスタと呼ぶ。一番安いし、皆ゴチャゴチャしながら踊れるから、気楽に楽しめて僕はとても好き。

ただ、この時は、そんなに観客が一体となって踊るような感じはなく、思い思いに楽しんでいる感じだった。カリオカはこんな感じか。

ピスタで最高に盛り上がったライブといえば、やっぱりバイーアにあった。現地のミュージシャンのライブで体育館みたいな椅子が一つも無いただの箱っていう感じの会場であった。

会場は当然バイアーノの群。歓声やその場の踊りだけで済むわけがない。

ライブ中はどこからともなく観客の動きにウネリが出来る。このウネリが半端じゃない。前後左右に5メートルぐらい一斉に移動する。

そもそも観客で埋まっている状態なのに、一方向へギュゥゥゥっと寄り固まるから、都心の通勤ラッシュ状態になる。あのラッシュの状態で前後左右に小さい駆け足で動くと考えてもらうと分かりやすいかもしれない。

本当に楽しい。

スッキリ、サッパリ、良い汗をかける。

ブラジルは広いから、場所が変わればそこに住んでいる人たちの気質も変わる。バイーア、リオ、サンパウロ、パラナー、いろいろ違う。それがこういう同じピスタで楽しむライブでも表れている。もちろん、バイーアのライブの全てがこんなハードな感じじゃないから、小さい会場から大きい会場までいろいろ行って楽しんで欲しい。

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