最近、ちょこちょこと日本の街中を観光している。電車で小一時間程度の範囲の観光だけど、気持ちの持ちよう一つでとても楽しめる。

『近所だ。地元だ。』とか思っちゃうと感覚が閉じちゃうけど、『初めて来る。観光だ。』と思うと、本当にいろいろ新鮮に感じられて楽しめる。

その土地の言語（日本語）はとても達者に話せるし、ひらがな、カタカナ、漢字と、文字も読めて理解できる。だからとてもスムーズに観光できるし、観光することに集中できる。

そんな中、『そりゃないだろ・・・』と思うことがある。

それは、地図の問題。

現地の駅には観光ガイドとしてこの町の名所や名物などが書き込まれた地図が、パンフレットや立て看板という形である。また、インターネット上のホームページに載せているところもある。

新宿、渋谷、浅草、上野なんていうように、有名な観光スポットでは、概ねその地図通り、地図を見て受けた印象と、実物が合致するんだけど、マイナーな町だと、このギャップが激しい！

ここ2,3ヶ月の観光だと、とある鉄道会社のホームページに載っていた観光マップを参考に、そこは紅葉や神社の素晴らしい風景がある町ということだったから、行ってみた。

駅を降りてまず感じた、その土地の空気。元気が無い空気。どこにでも、その土地の空気というか、気というか、見た目以外に漂っているものってあるんだけど、ここの場合、それがとてもどんよりしていた。

『なんか嫌な空気感だなぁ』と思っているところ、まず目に入ってきたのは、工事予定地。歩けど歩けど、そんな囲いの中に土が盛ってある工事・建設予定地ばかり。無理矢理作った公共事業をこのあたりに押し込んでるって感じ。

そんな光景を横目に、観光マップにあった神社に到着。敷地内へ入ってみると、閑散としている・・・。参道、境内、手水舎など、落ち葉だらけで、最近に人の手が入っていないことが一目でわかる汚さ。手水舎には水が無く、落ち葉が溜まっている。これはひどい。

なんか怖い！！

すぐにそこを後にして、次のスポットへ向かうために歩き出した。景色は畑や田んぼがある中、稼動してない雰囲気の工事予定地があり、お世辞にも素晴らしい景色とはいえない。

現地の立て看板の地図も古くて汚れていて見にくい。寂れている。

どんどん重い気が強くなってきて、怖くなったので引き返して帰った。観光に行って途中で帰ってきたのは初めてだ。

ホームページで見た観光案内とは雲泥の差に驚き、この珍しい体験を楽しくも思う。思うんだけど、神社ぐらいちゃんと掃除しろ！！

また、別のとある町では、駅を降りてすぐのところに立て看板の観光マップがあった。名物や名所がわんさか描き込まれている中、あんまり見たいと思うものがなかったんだけど、その中から一つ選んだ。

その地図を見るかぎりでは、古い日本家屋の一部が今も残っていて、それを保存してあるかのように描かれていて、それは3メートルぐらいはありそうな雰囲気の物で、ここからだいたい300メートルぐらいの所にあるように見えたから、歩いていくことにした。

歩いたよ、歩いた。

なかなかそれらしきオブジェが見えてこない。更に歩いて、ようやく着いた。結局、1キロぐらい歩いた。

目に飛び込んできたそのオブジェが・・・、

ちっちぇ！

1メートルぐらいしかないの。交差点の一角にポツンと置かれている。札幌で初めて時計台を見た時と同じような意外性と衝撃を受けて、体中の力が抜けてその場に崩れ落ちそうになった(笑)。

観光マップでは、今もこの地に残る歴史ある物であるかのように、とても大きく立派に描かれていたのに、このサイズは何だ？！と思い、オブジェの横にあった説明書きを読んでみると『昔この地にあった○○○をしのんで作ったオブジェ』というような事が書かれていた。

つまりオモチャだったわけだ(笑)。よくいえばリスケール・レプリカか。

歴史的価値など何もなかった。

駅にあった観光マップを写真におさめてきたので、家でもう一度じっくりそのマップを見てみたら、面白いことに気付いた。

この町はオブジェ、モニュメントだらけ！！

しかも、架空の生き物や、有名芸術品のレプリカばっかり。数えてみたら30個以上もあった。これら価値のない、いわゆるただの像をマップから排除して見てみると、観光マップが一気に寂しくなった。

やりすぎ(笑)

ただ、ここは目立った物がないんだけど、悪い町ではなかったんだ。観光マップには一切描かれていなかったけど、瓦屋根の昔ながらの商家がちらほらと残っている。これで町おこしをした方がよっぽど良い気がした。

ということで、上記二箇所の観光マップは距離の縮尺が滅茶苦茶だし、名物もデフォルメしてるしで、それを真に受けてしまったせいでちょっと振り回された観光だった。もうちょっと誠実なマップを掲載して欲しい。

それでも、こういうことも含めて観光は楽しいから、これからもメジャー、マイナー問わず、そのへんの町を観光していく。

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