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日本の電車内のマナー

 
2012-07-10 12:00 Good(2) Comments(0)
in Free Talk - フリートーク, Japan - 日本
日本の電車 - The train in Japan
日本の電車 - The train in Japan

日本の電車内でのマナーは、『禁煙』、『騒がない』、『通話禁止』、『携帯の電源オフ』、『優先席』、『女性専用』など色々ある。その中で僕が特に注目しているのは、『席を譲る』行為について。

日本でバスや電車に乗っていると、高齢者や妊婦が乗ってきても、その時座っている人達が彼らに席を譲る場面を見ることは殆どない。

どう見ても健康そうな人(子供や若者、50代程度でも健康な方なら含む)が当たり前の顔をして席に座り続けている。携帯端末をいじっていたり、学校の教科書を広げていたり、寝ていたりといろいろいる。

『私が座ってるんだから、ここは私の空間です。』

と言わんばかりの閉じた雰囲気でいる。

まず電車やバスっていう空間は、自分だけのテリトリーじゃない。いろんな人が行きかう公共の場だから、常に周囲へ配慮する心がけはマナーとして必要なこと。

日本とは違う文化、声を掛け合うブラジルでの生活の中で、主要交通機関であるバス車内の様子を見て、ブラジル人のバス車内での行動が日本のそれとは大違いな事にとても感心している。

それ以来、ここ数年は日本で特に電車などで席を譲らない場面を見かけると、強く不快と疑問を持つようになった。

ただ、今までは、席を譲らない人間に対して一方的に不快感を持っていたけど、つい先日『ある事』に気づいてから、譲られない人にも問題があると思い始めている。

その『ある事』には、こんな場面で気づかされた。


ある日、電車に乗っていると、僕の真向かいに10歳ぐらいの子供二人を連れた4人家族が一人一席で横並びに座っていた。父親は45歳ぐらい、母親は40歳ぐらいの見た目。

その時はシートは全部埋まっていて、立っている乗客もかなり居るけど、吊り革が丁度埋まる程度の空き具合という車内の状況。

そこに一人のお婆さんが乗ってきた。

腰が曲がり、足が上がらないため歩幅も小さい。白髪で80歳ぐらいの見た目。

僕の常識から言えば、確実に席を譲られて遠慮することなく堂々と座って良いはずの人。

もちろん僕はすぐに声を掛けた。そのお婆さんは喜んで座った。

ふと、僕はその時、僕の真向かいに座っている4人家族に目が行った。

まずこの両親はこのお婆さんを気にも留めていない様子。まるで視野角1度、視界10cmって感じの人形みたいな表情で座っている。これだけなら日本ではよく見かける光景だし、僕は今までのように不快と疑問を持つだけだった。でもこの時、この両親がこの一連の状況の中でとんでもない行動をとっている事に気づいた。

その両親は子供たちに向かって何度かこう言っている。

『静かにおとなしく座ってなさい』

僕はそれを見てふと気づいた。

自分の子供に『席を譲りなさい』と教えるのではなく、『席に座りなさい』と教えている。

そういえばこの光景、よく見かける。

まず子供に伝えるべきことは、『静かに席に座り続けること』じゃなく、『外では周りを気に掛けて、高齢者や妊婦が来たら席を譲る、他人をいたわる気持ちを持って行動を起こすこと』であるべきだと思う。

だって、社会の中で生きていくんだよ。自分の存在を消して迷惑を掛けまいとすることより、他人を気遣って行動することの方がはるかに重要だよ。

ちなみにこの子供二人は特に騒いでいるわけでもなく、お互いにちょっとつつきあっている程度で、座り方はダラァーっとだらしなくしていたけど、周囲に迷惑をかけるほどのことは全くなかった。

ちゃんと親がその場で『あのお婆さんに声を掛けておいで。席を譲るんだよ。』と伝えれば、ちゃんと行動できそうな子供達に見えた。

それで、ちょっと自分が子供の頃を振り返ってみた。

例えば僕が小学生の頃、今からだいたい25年前。毎週1回は必ず電車に乗っていた時のことや、その他、外で電車、バス、ベンチなど座る場所がある時のことを思い出してみると、『席を譲りなさい』と自分の子供に伝えている大人を見た記憶が全く無い。

つまり、その時代に小学生ぐらいの子供を持つ親だったら、今だいたい60歳代になっているはずで、人によっては電車で席を譲られるぐらいの衰えはきていてもおかしくない。

『席を譲る』ことよりも『席に座り続ける』こと、『席を譲らない』教育を自分の子供たちにしてきて、自分自身の手でそういう人材を育ててきた結果が今の惨状を招いているのかもしれない。

親や学校の先生たちは、自宅や学校では『席を譲るんだよ』と口で教えていたかもしれない。だけど、それを実際に行動で示せる絶好の機会である電車やバスの中といった場面で、子供にそれを伝えてきた人はどれくらい居るだろうか?または自身の行動で示してきた人はどれくらい居るだろうか?

子供からしてみると、他の場所では『席を譲りなさい』と教えられるけど、現場では『静かに座りなさい』と叱られる状態。

だから頭では『席を譲るべき』と分かっていても、実際には『席を譲らない』、『席を譲る行動をとれない』という人間になってしまうのかもしれない。

だから、今までは席を譲らない人に対して一方的に不快感を持っていたけど、この4人家族を見かけてからは、席を譲られない人にも問題があると思った。

単純に、日本人のコミュニケーション能力の低さから、人前で行動を起こすことを怖がっている又はそういう自分を認めたくないためにつっぱって誤魔化したり、そもそも気づかないフリをしてやり過ごしていることが大きな原因かと思っていた。

だけど、その原因の原因があった。

親が自分の子供に『席を譲る』ことをしっかり伝えていれば、少なくとも電車やバスのような席の譲り合いが必要な場所では、人前で声を発する事や行動を起こすことに何の抵抗も持たない人間が育つはずだし、社会全体がそれが当たり前な風潮になっているはず。

高齢者や妊婦に席を譲らない今の日本の残酷な国民病は、席を譲られるはずの人たち自身の長年に渡る行動が招いた結果かもしれない。

だけど、『高齢者や妊婦に席を譲らない、気づかないフリをすることは心無い行為だ』と気づいて自分を正せた人は、ちゃんと席を譲っているだろう。

大人自身の長年の行動に問題があるとは思うけど、だからって全部責任があるわけじゃないし諦めろって話でも勿論ない。席を譲るべき状況でそうしない人間がいたら、当然、それはその人自身が悪いのであって、その行動の責任もその人自身にある。

おかしい状況を見かけたら、周りにいる人が『あの老人に席を譲れませんか?』、『あの妊婦さんに席を譲れませんか?』と一声掛ければいい。

この問題は、たぶん、日本のみんながそれぞれ意識しあって声を掛け合って改善していく努力をして、改善するのに何十年も掛かるほど大きな国民病だ。



それにしても、最近、ここ何年ぐらいからかは分からないけど、悪さしてる子供を見かけても見て見ぬふりをする大人が多い。

ちゃんとまっすぐ向き合って、その行動の間違いを伝えれば、子供達はちゃんと聞く。

先日も公園で僕が運動をしていた所に、6,7人ぐらいの小学生、5年生ぐらいの男の子達がやってきて、1.5mから2mぐらいある長い木の枝をそれぞれ持って振り回してじゃれ合い始めた。男の子だから元気があっていいと思うけど、ここではちょっと状況が違った。

その男の子達は公園の1/3ぐらいの場所を占有する状態になり、周りには幼児を連れて遊びに来ている親子連れが沢山いて、その男の子たちが棒を振り回しているから危なくて敬遠している様子。

だから、元気があって良いと褒められる状況じゃない。小さい子も沢山いて危ないから、周りに気を遣いなさいと伝えなければいけない状況。

にもかかわらず、公園にいる子連れの大人たちは、誰一人として注意しようとしない。明らかにその子たちに対して不快な目線や表情で意識している様子なのに、誰も何も行動を起こそうとしない。

とても異様な光景。

一言『周りに人が居るから気をつけなさい。』と言えば彼らは真摯に受け止める。状況は簡単で子供でも瞬間的に理解できることだから、これぐらい簡単に言うだけでも十分伝わること。僕が彼らにそう伝えたら、ビシッと気をつけをして『はい!』ってちゃんと返事までする普通の子達だったよ。


大人も子供もなく、普段から声を掛け合った方がいいと思うよ。


ブラジルのバス車内のマナー



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おまけ。

日本の電車に乗ると、『優先席』っていうのがある。

中には『最優先席』っていう『優先席の中の優先席』とかおかしな物まであると聞いて呆れてしまう。『男の中の男』とか『キング・オブ・キングス』とは違う。

『優先席』なんてわざわざ設置しなくてもいい社会はいつ出来るかな?『警察は要らないよ』っていうほどのぶっとんだ理想論じゃないと思うけど、やっぱり難しいか。

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