ブラジルにはコーヒーを指す言葉が二つある。

Café （カフェ）

Cafezinho （カフェジーニョ）

どちらもカフェが付くけど、それぞれの言葉が持っているイメージは違う。

Café → コーヒー

Cafezinho → コーヒーちゃん

カフェとはコップに入ったいわゆる普通のコーヒーのこと。

カフェジーニョとは小さい入れ物に入ったコーヒーのこと。だから『コーヒーちゃん』。

決定的な違いはそのサイズと手軽さ。

カフェジーニョはまさに一口サイズ。大抵は日本のお猪口程度の大きさのカップで飲む。ちびちび飲むものじゃなくて、一気にクイッと飲むもの。ちょっと手早く飲み終わる手軽なものという感覚。

また、普通のコップサイズのカフェは最初からサッカリンや砂糖（大抵サッカリン）が入って甘くなっているものとブラックのものがあるけど、カフェジーニョは激甘。まず間違いなく甘い。

既にポットの中のコーヒーが甘く味付けされていることもあるし、そうでなければ自分でこの小さいカップの中にサッカリンを一滴入れて飲む。

そして、濃い。

このカフェジーニョは食後に一杯ひっかける感じで飲むことが多い。だから食堂なんかに行くと、レジの横や出入り口付近に甘いコーヒーが入ったポットと使い捨てミニカップが置いてあって、無料で自由に飲んでいけるようになっているところもある。

ブラジルのコーヒーの捉え方って、日本みたいに優雅なひと時のお供というイメージじゃなくて、麦茶に近いイメージ。

日本で喉が渇いた時にコップ一杯の麦茶をグビッと飲む時に、いちいち香りを楽しんだり、素敵なグラスに注いだりしないのと同じように、ブラジルではコーヒーを何の気なしにグイっといく。

もちろん高級なコーヒーもあるし、それを楽しむ感覚も持っているけど、日常的に飲まれるコーヒーは一気に大量に煮出して常備しておき、いつでも手軽に飲めるようにしているから麦茶に近い扱い。それほど身近な物。

そして、特に激甘カフェジーニョはカンフル剤的な使い方をする。

ブラジルは暑いから、特に日中は甘い物を口に入れたくなる。それで食堂なんかで食後にこの激甘カフェジーニョを一杯やって、目を覚ましてまた外に出る。

ブラジルの言葉で『○○ーニョ』や『○○ーニャ』ってなっている時は、大抵は元ある物を小さくした物や、少なくした物、短くした物、手軽にした物、可愛くデフォルメした物などを指している。

だからカフェの小さくて手軽なものという意味で、カフェジーニョというふうに呼ばれている。

日本ではこれから夏に向けて気温が上がっていくから、僕は食後や出掛けにカフェジーニョをサッと一杯やってから外に出る機会が増える。ブラジルでは自宅よりも外で飲む機会の方が多いけど、僕は自宅でも普通にカフェジーニョしてた。コップ一杯のコーヒーを飲むと腰が落ち着いちゃうのが嫌だから。そういう時はサっと飲んでサっと動ける少量のカフェジーニョが最適。

日本ではサッカリンじゃなくて砂糖で飲めるから、それだけでも高級感を感じる。

ブラジルの Café と Cafezinho の違いはこんなところ。ブラジルでどこかの食堂に入ったら、レジや出入り口付近をよく見てみて欲しい。コーヒー入りのポットが置いてあるかもしれない。

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おまけ。

カフェジーニョじゃ刺激が足りねぇ！っていう人は、カイピリーニャで気合を入れる。真っ昼間っから。

こういう人を見ると、本物の労働者って感じがする。

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