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ブラジルと日本の飲食店の違い

 
2012-04-22 22:10 Good(70) Comments(0)
in Food - 料理, Brazil - ブラジル
リオ・デ・ジャネイロのイタリアンレストランでのボトルカットパフォーマンス - A show of cutting a bottleneck at italian restaurant in Rio de Janeiro, Brazil
リオ・デ・ジャネイロのイタリアンレストランでのボトルカットパフォーマンス - A show of cutting a bottleneck at italian restaurant in Rio de Janeiro

日本に外食するレストランや食堂があるように、地球の反対側の国ブラジルにもそれはある。僕が今まで両方の土地で生活してきた中で見た両国の飲食店の違いと、そこから感じている事を書く。それを通じて遠い遠いブラジルに少しでも興味を持ってくれると嬉しい。

主にブラジルの飲食店での体験を挙げながら、日本との違いを見ていく。

まず、ブラジルで驚いたのは、安い飲食店がホントに安すぎること。

一番安く定食を食べられる食堂へいくと、その値段はなんと

R$1レアル!!

R$1レアルは現在のレートだと約43円。たったの43円でご飯を食べられる。笑いがとまらない(笑)。

僕が初めてこの1レアル食堂に行った時は、レートが確か約38円だったから、今よりもっと安かったことになる。

定食の量は、ご飯に鶏肉のおかずという簡素なもので、いわゆる日本の学校給食みたいな雰囲気だった。大人の男性が食べるにはちょっと物足りない量だけど、女性や大食いじゃない男性には十分な量。

味は普通に美味しい。ブェッって吐くような不味さは無い。

店内や食器の衛生面では、日本じゃ考えられないくらい酷い。だけど、ブラジルのランショネッチ(lanchonete)と呼ばれる簡易食堂の殆どは、日本のレストランみたいに小奇麗じゃないから、特に驚くほどのことはない。すぐ慣れる。

例えば、プレートやコップには砂埃が着いているなんていうのは当たり前。そういうフランクな感じ。

生ゴミの中で食うとか、肥溜めの横で食うとか、そういう汚さじゃないから安心して欲しい。

ドアマンや支配人が出てくるような高級レストランでもない限りは、どこも砂埃的な『フランクな汚さ』は付き物。なんせ、リオ・デ・ジャネイロのマクドナルドにもゴキブリいたし。僕のハンバーガーの横を走り抜けていった(笑)。

僕が行ったバイーアの1レアル食堂は、ほぼファベーラ(貧民街)みたいな所にあって、ゴミゴミと込み合った中にある食堂だった。このタイプの食堂での外食は初めてだったから、『鳥のマリファナ焼き』とか『マリファナ仕立てのスパゲッティ』とか出てきそうな所だなぁという感じで(笑)、ドキドキワクワクしながら食べていた。

食べ終わってから聞いたんだけど、そこの食堂は、乞食が羽振りの良い時に使う食堂とのこと(笑)。

後にも先にもそこの食堂へ行ったのはそれっきりで、殆どは自炊で、たまにポルキロ(量り売りの食堂)やピザ屋という食生活だった。


実はこの1レアル食堂、政府が貧困救済の政策の一環として行っているもので、ブラジル全土にあるらしい。『らしい』というのは、僕が自分で行ったのはバイーアの一箇所だけだから。

一見素晴らしい政策に見えるんだけど、反対している人もいる。その理由は、『乞食が楽してのさばっちまうじゃねーかよ!!』っていうこと。

さて、これはどういうことか?

ブラジルの有名観光地にいると、現地の汚い身なりの子供や大人にこんな風に話かけられることがある。

ウンヘアーウ、ウンヘアーウ

これは『1レアル』と言っている。つまり、恵んでくれ、金くれ、と言っている。物乞いの常套句。

僕も現地の友人から聞くまでは気づかなかったんだけど、こうやって観光客から金をせびっている乞食たちは結構儲かってるらしいんだ。

観光客に誰それ構わず『ウンヘアーウ』と声を掛けまくっていると、一人から1レアルずつ貰って、一日あたりR$5レアルぐらい手に入るらしい。

彼らは一日一食食えば十分。その一食を1レアル食堂で食べるわけだ。1レアル食堂で出てくる定食の内容は上に書いた通り十分なものなので、肉体労働して一日中動き回っているわけではない乞食からしてみると、必要なエネルギーを確保できている状態になっている。

観光地にいる乞食なら、ねぐらも近いから移動する交通費というものが必要ない。だから、例えば一日二食食べても手元には3レアル残り、それを貯金できる計算になる。

遠方から出稼ぎにくる乞食も、週始めにバスに乗ってきて(1レアルで乗せてもらう)観光地へ到着し、そこで毎日物乞いして週末に帰るという生活スタイルでいくと、毎日ご飯を食べながらしっかり貯金できる計算になる。

これが『乞食が楽して儲かる』の現状。だから1レアル食堂の普及に反対する人たちの意見もよく分かる。(差別意識から単に貧困層の頭を押さえつけたいだけの人もいるかもしれないけど。)

ブラジルは有名観光地なら、食べられる実が生る椰子の木やマンゴーの木が街路樹として当たり前に植えられていたり、ちょっと山に入ればジャカ(ジャックフルーツ)のような甘い食べ応えがある果物の木が自生しているから、観光地の乞食はお金に困っても餓死することは無い。

それに、稼ぎ口はウンヘアーウ攻撃だけじゃなくて、例えば、路上に止めてある車があると、その傍の道路に寝転がる。車の持ち主が戻ってくるまでゴロゴロと暇をつぶしている。戻ってきた持ち主に一言。『車の見張りをしてたぞ。金くれ!』と(笑)。そういう方法もある。

こうやって『勝手に働く作戦』で、金をせしめる奴もいる。僕のアパートの前をねぐらにしていた乞食はこの戦法で、うちのアパートの主人から度々金をせしめていた。まあ、その主人も気のいい人だったから、優しく1レアル渡していたのが微笑ましかった。

ちなみに、うちの前を縄張りにしていた乞食は、よくタバコを吸っていたし、近くの食堂でメシ食ってたとか、酒飲んでたなんていう目撃証言もよく聞いた。身なりは金に困ってる感ありまくりだけど、餓死するほど困ってはいないのは明らかだった。酒とタバコという娯楽も楽しめているんだから。

彼について最も印象深く残っている事は、タバコを吸っている時の幸せそうな顔。僕はその顔を見たとき、幸福感の大きさは自分の中での比較であり、自分で決めることが出来るものだと改めて思った。

話がそれたけど、ブラジルにはこういう1レアルで食べられる激安食堂もある、ということ。流石に日本ではここまで安い食堂はない。出来ない。全体的に物価、特に食費が高い国だから。仮にそんな安い食堂があったとしても、安すぎて怖いとか言われて客が寄りつかなそう。




もう少し真っ当な値段で、庶民から観光客まで広く利用されている食堂がある。それが、

ポルキロ

と呼ばれる食堂で、量り売り形式のビュッフェスタイルになっている。

店内に入ったら、プレートを取ってそこに好きな食べ物を好きなだけ盛っていく。終わったらレジへ行って、レジに置いてある『はかり』で何キロあるか重量を量ってもらい、それに応じて料金を払う。

ポルキロとは【por kilo】という表記で、『キロあたり』という意味。店頭の張り紙には、【por kilo】の文字と一緒に値段が書かれているので分かりやすい。店にもよるけど、大抵は女性だと一食あたりR$5レアル程度で済み、大食いな男性だとR$10レアル以上という感じになる。

ビュッフェの内容は殆どが現地ブラジルの料理で、ご飯ベースに、フェイジョアーダやムケカなどの煮物や揚げ物が多く、それに野菜やフルーツがあるといった感じ。たまに、中華ポルキロみたいに変り種の店もある。

色々なメニューがあって楽しいんだけど、現地の食べ方で食べるのはおすすめしない。現地の食べ方というのは、プレートに盛った全ての料理をグッチャグチャに混ぜて食べるというものだから。

これをやると、毎回違う料理を取ってきても、いつも同じ物を食ってる気になってしまい、飽きてくるのでおすすめしない。

フルーツなんかはなるべく端っこに置くようにして、食べるときには一旦どけておくと良い。

大衆食堂は、こういったポルキロ以外にも、メニューごとに値段設定してある日本と同じようなシステムのところもある。

そういう所は大抵は、テレビを据えつけてあり、それでサッカー観戦を皆で楽しむことが多い。そこでは大抵賭けが行われていて、賭けを仕切っている奴がいる。大げさな賭博というものではなく、ビーチの帰りに一杯ジュースを飲みながらサッカーをテレビ観戦しつつついでに賭けてみるか、っていう感じのもの。楽しく盛り上がっている。

この程度のところでは、まだフランクな汚さは当たり前にある。お皿が汚れていたり、間違えて注いだジュースを元の貯蔵タンクに戻したり、神経質なところはない。




次は高級なレストラン。予約が必要で、ドレスアップしていくのが当たり前なところ。大げさな正装の人もいるけど、普通に小奇麗な格好ならOK。飲食店に限らず、高いお金を必要とするところは大抵、短パン&ランニング&ビーチサンダルはキツイ(笑)。

こういうところは値段は高い。高いといっても日本で普通にディナーに行くよりはちょっと安いかなぐらいの値段で済む。高めに設定してある店なら、日本で外食するぐらいのもの。一人¥5,000円から¥8,000円程度。

ただ、これは僕が自分で支払ったものから書いているので、友人に連れて行ってもらってご馳走になったその他いくつかのレストランの値段は知らない。店のトップがわざわざ出迎えに出てくるところとか、ウェイターに何か注文したり申し付ける度にチップでR$10レアルずつ(普通は必要ないし、渡してもせいぜい1レアルが相場(笑))渡すようなところとか・・・・。自腹で行くなら計画を立てて気合入れないと行けない気がする(笑)。とても楽しい貴重な体験をさせてもらった。友人に感謝感謝感謝!!!!

もちろんこういう高級レストランには、フランクな汚さはない。料理もお酒も素晴らしいものが出てくるし、ビシッと正装している店員の接客態度も紳士的で素晴らしい。




こういう感じで、僕は運良く様々なタイプのブラジルの飲食店を体験できている。その中で日本の飲食店と大きく違う点を一つ見つけた。


ブラジルの飲食店は、値段と外見に相応した質の料理が出てくるから、見た目でそれを予想することができるため、予想と結果が噛み合って満足度が高くなるけど、日本の飲食店は、安い食堂でも高いレストランでも全て小奇麗にしていて仰々しい接客態度をするので、見た目では出てくる料理の質を予想できない。そして大抵は外見から期待が膨らんだ分、それに伴わない中身の質に残念な感覚を覚えてしまい、結果、満足度が低くなってしまう。


日本の飲食店でよく見られる、店の外装や内装を格好よく、綺麗に、清潔に、というのはとても良いこと。その見てくれから、『凄い料理が出てきそうだなー。楽しみだなー。』って思える。

そして接客態度が、何かの儀式でも始めるのかと思えるほどギッチギチな態度をとるから、『どんだけスゲーもんが出てくるんだよ?!』と期待が更に膨らむ。

その状態で出てくるのが、レンジでチンしたやつとか、すっぱくて辛くない『本格韓国』キムチとか、薄めまくった酒とか、調理が必要ないような小物が出てくるまで30分以上掛かったりとか、、、そんな料理や状態が当たり前のように目の前に現れる。

裏で何やってるか分からない

そう思えてしまうほどの見た目と内容のギャップがあるから、怖くて安心して食事をできない。

質の低い料理や対応なら、それ相応の雰囲気で構えていればいいし、そういう店構えなら僕もそのつもりで入店するから何の問題も無い。居心地良く食事ができて納得がいく。

日本の食事に掛かるお金が大きすぎるということもあり、妙な期待感で自然とハードルを上げてしまっているところもある。膨らんだ期待感を持ったところから一気に突き落とされるから満足度が低くなってしまう。

ぼくが日本の飲食店に感じている大きな問題点はこんなところ。

日本、物価高いよ!


ちなみに、ブラジルで生活していると、自炊メインで、男性でも一ヶ月¥2万円ぐらいの食費で済む。買い物上手や節約上手な人なら、¥1万円でも行けると、実際にそれで生活していた人から聞いた。僕は2週間分の食材をまとめて買出しに行く生活スタイルをしていて、それで節約なんて考えないで一回の買い物に掛かるお金がだいたい¥8,000円ぐらいだったから、一ヶ月で¥1.6万円ぐらい。たまに外食したり飲み歩いたりしてるから、それも含めると¥2万円超えてると思う。それでもそんなもの。

安いんだよ!

ブラジルでは、肉(牛肉)を食ってれば金掛からない。『人の数ほど牛が居る』なんて言葉が聞こえてくるほど、牛肉は豊富で安い。豚肉の方が高い。日本とは逆だ。

缶ビールなんて1本40円ぐらいだよ。酒飲みにはたまらん国だよ。


ブラジルの飲食店と日本の飲食店の違いは、

ブラジルの飲食店は見た目で質が分かる、日本の飲食店は見た目じゃ質が分からない

そこが僕が感じた一番大きな違い。

予想と結果の一致から満足度が高くなる。納得がいく。安心できる。日本には圧倒的に足りないものだ。『納得いく』ことが多いよ、ブラジルは。


ブラジルへ旅行に行く際には、いろんなタイプの飲食店に入ってみて欲しい。飲食店めぐり、楽しいよ。

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