今度の日曜日、9月25日にやるムケカ祭り（今回は一般募集をしていない）ではフェイジョアーダ(Feijoada)も作る。フェイジョアーダとはブラジルの伝統的な食べ物で、黒豆と豚肉をメインに煮込んだドロドロシチューで、それをご飯にかけて食べる。日本のカレーみたいな食べ方。栄養満点！

フェイジョアーダの歴史について確かなことは判明していない中よく聞くのは、コーヒー農園や金鉱山なんかで働かされていたアフリカから連れてこられた奴隷たちが、主人のための料理で使われずに捨てていた豚の内臓や頭や尻尾の部分を家畜の餌と一緒にごちゃっと煮込んだ料理が始まりで、それが徐々に広まって今ではブラジルを代表するほど有名で一般的な食べ物になったというもの。

日本の観光ガイドブックなんかではよく『奴隷の料理』なんていう風に紹介されているから、奴隷の酷い最低な食事に思えるけど、実際のフェイジョアーダを見るとその呼び方がどうしてもしっくりこない。

バイーアで僕が初めてフェイジョアーダを食べた時の印象は、『凄い豪勢な料理』だった。

だいたい質素な食事といって思い浮かべるものといえば、トウモロコシやマンジョッカだし、残り物とは言えないようないろんな種類の肉やソーセージが入っているし、調理には塩漬けした豚肉の塩抜きから入れると1日必要で、その豚肉の塩漬けから作ろうと思ったら1週間ぐらいの時間が掛かる。

だから僕は、農場や鉱山での仕事を円滑に回すためには奴隷が病気にならずに働けることが重要で、そのためにはどうするか？って考え始めて、主人側はよりローコストでハイリターンなアイディアを出し、奴隷側は栄養価と質がより高くなるようなアイディアを出していった。その流れの中で、現地調達しやすい材料で出来た創作料理っていう感じなんじゃないかなぁって思ってる。昨今のレストランのオーナーと料理人の関係みたい。

フェイジョアーダの起源は想像の域を出ないからこのへんにしておいて、そのフェイジョアーダの味の要ともいえる豚肉の塩漬けを作り始めた。

見た目どおり難しいことはなく、塩振って冷蔵庫で寝かせておくだけ。出てきた水分を吸い取るキッチンペーパーを毎日取り替える。

シンプルだから、たぶん塩の良し悪しで味が左右されると思う。うちでは、粗塩とヒマラヤの岩塩を混ぜた塩で漬けてみた。

日本ではあまり使われないと思うけど、ブラジルでは普通に塩漬けされた肉が売っている。

以前バイーアに居たとき豚汁を作ろうと思って豚肉を買ってきたんだけど、その塩漬けした豚肉しか手に入らなくてそれで作り始めた。

塩抜きしてから鍋でグツグツ煮て豚汁を作った。いざ食べたらしょっぱくてしょっぱくて一口も食えなかった。

塩抜きしたのにまだしょっぱい。仕方ないから、肉だけ取り出してその豚汁は全部捨てた。そして、その取り出した肉を水で揉み洗いして(笑)、よく絞って(笑)、それから水に入れてまた塩抜きして、同じように豚汁を作りなおした。

しょっぱい！

それでも食えないほどしょっぱかった。それだけしっかりと塩が染み込んでいるブラジルの塩漬け豚肉。

この塩漬け豚肉を上手に使えたら、きっと美味しいフェイジョアーダが出来るんだよ。

流石にフェイジョアーダは調理時間が掛かり過ぎるから前日に完成させる。ということで、うちではムケカ祭りに向けて既に動き出している。

それにしても、フェイジョアーダを見るとやっぱりファリーニャも食べたくなる。

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