今回の観察では、観察対象外の個体に目だった行動があるため、ナミアゲハの観察2の番外編としてまとめる。

観察している個体を追い抜いて一昨日終齢幼虫になった個体が、なんと今日、前蛹になった。

終齢幼虫になってから、たったの2日半、約60時間で前蛹になった。

前回観察していた幼虫は終齢幼虫から前蛹になるまで5日掛かったから、これはその半分の期間で成長したことになる。

今日の正午すぎに、サイパンレモンの木の葉っぱに下痢便を見つけた。一番早く終齢になった幼虫でもまだ2日しか経過してないし、その他の4匹の終齢はまだ1日しか経過していない。でもこんなに早く下痢便をするのは、その最初に終齢になった個体しかない。

その後約1時間後にもう一度見てみたら、その幼虫が突然スルスルスルーーーと木を下りはじめて、何の躊躇もなく鉢植えの土の上に着き、鉢植えの淵へと走るように移動した。

大移動だ！！

急いで割り箸に移動させて、その割り箸をコップに立てかけて、幼虫が前蛹になる覚悟を決めるのを待った。

2時間経過しても場所を決めずにウロウロして、時々割り箸の先端から落っこちることを繰り返していた。

そこで、水槽を用意して、その中に割り箸を張り巡らせて、幼虫をその中に入れた。フタはサランラップでして、空気穴を開けておいた。

それから1時間しても、水槽の淵をグルグル周回するばかりで、一向に場所を決める様子が見られない。むしろ、水槽の中の割り箸よりも、水槽の外へ行きたがっているかのように見える。

そこで、水槽の周囲をカーテンで覆って、暗くしてみた。

そしたらその5分後、割り箸の1本に上って、蛹になる場所を決めた。

ちょっと薄暗くした方がいいのかもしれない。

それから、休み休み逆さまになったりしながらその場所に糸を張り巡らせて、蛹になる場所の準備を行い、最後に帯糸を作り始めた。

帯糸は何本もの糸を重ねて太くして作るので、割り箸の左右をゆっくり半円を描くように体を後ろに逸らしながら、左から右へ、右から左へと大きく折り返す。

1時間ぐらいで蛹になる場所の準備が完了し、立派な帯糸に体を通して、前蛹になるポーズで落ち着く。

しっかりした白い太い帯糸が見える。よかった。

前回観察していた幼虫が帯糸くぐりに失敗していたため、帯糸くぐりに成功した幼虫は初めて見た。

それにしても太っちょだ。前かがみになってもお腹と割り箸の間に空間が出来ない(笑)。

この個体は何から何まで速い。新芽で産まれて、新芽だけを食べて育った。偶然にも、同じ木に約15匹も幼虫がいるのに、ただの1匹もこの幼虫がいる新芽にはこなかったため、そこの新芽をずっと独占できたのが更に幸運だったこと。

新芽は柔らかいため、食べるスピードが速く、食べる量が2,3倍も多くなる。そのため、成長がずば抜けて速くなり、体も大きくなった。

孵化から8日目で体長25mmで終齢幼虫になり、9日目には体長34mmと一気に巨大化して太い体つきになり、10日目の今日には体長38mmになり大量の下痢便をして大移動開始。そして前蛹化に成功。

ちょっと伸びている状態だと、44mmにもなる。

帯糸がしっかりしているし、これ以上ないほど贅沢に育ってきた幼虫だから、きっとこのまま蛹になって羽化するだろう。

体が大きいから、蝶々も大きいのが出てくるのかな？楽しみ。

想像前蛹？・・・・とでも言うのか、昨日終齢幼虫になったばかりの4匹の幼虫のうちの1匹が、今朝から慌しくサイパンレモンの木を移動しまくっている。

落ち着かない様子。

葉っぱを食べるわけでもなく、ウロウロしている。途中3回も木から落下する事故があった。

そのうち木から下りた。

！！まさか？！下痢便は見当たらないけど、もしかしたら大移動開始なのかと思って、そのまま割り箸に移動させてコップに立てかけておいた。

ところが3時間ぐらい経っても前蛹になるような、場所を探しているような仕草を見せない。おかしいな？と思って、レモンの木に戻してみた。

そしたら、レモンの木の葉っぱをバクバク食べ始めた。レモンの木の葉っぱは、サイパンレモンの葉っぱよりも柔らかい。

こいつは前蛹になるんじゃなくて、ただ単に柔らかい新芽や若葉を探していただけだったみたい。

3時間も何も食べずに歩き回っていたから、よほどお腹が空いていたんだろう。痛んでいるレモンの葉っぱでさえ2枚完食した。

痛んでいても、サイパンレモンの硬い葉っぱよりは食べやすかったのかもしれない。

それにしても、ずっと同じ葉っぱを食べていて飽きたってことか？なんか猫みたいな幼虫だ(笑)。

またまた最速野郎が現れた！

上記の成長が速い幼虫に続いて、孵化が速い奴が現れた。

先日のムケカ祭りの時に産み付けられた卵が、それからたったの3日足らず、約69時間で孵化した。立て続けに他の2個の卵も孵化した。

暑い季節、気温が高いせいなのか？前回の観察では見られなかった状況が色々と起きて面白い。

脱皮したばかりの幼虫は色白。

これだけ沢山の幼虫がいるから、脱皮する瞬間も見る事が出来る。そして、その脱皮したばかりの幼虫は、体の色が違うことも見ることが出来た。

普段は黒褐色の幼虫が、脱皮したてには、顔は薄黄色、体は明るい茶色。黄色に近い感じ。

脱ぎ捨てた皮は残さず食べる。大事な蛋白源。

食べ終わると元の位置に戻る。

そのまま1時間ぐらい掛けて徐々に黒褐色に戻る。

観察中の個体と平行して、その他15匹ぐらいいる幼虫の成長の過程も見ている。沢山居ると色んな行動を見つけられるし、1匹1匹模様や色が微妙に違うことも分かる。

面白い。

今後の成長が楽しみ。

ナミアゲハの初めての羽化

孵化から14日目

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